昭和考古学とブログエッセイの旅へ

昭和の遺物を訪ねて考察する、『昭和考古学』の世界へようこそ

方言のとんちんかんな会話

AzuYahiさんのブログ記事、

 

azuyahi-tv.hatenablog.com

 

を見て、うんうんと頷き、笑い、そして「あるある!」と。

 

私は、ブログでちょくちょく「地」が出ているように、大阪弁ネイティブです。ブログだけを見ると標準語混じりのマイルドな関西弁なのかな?

と思う人が多いみたいですが、素顔は実はコテコテ大阪弁。関西弁に免疫がない人には、ちょっと怖いです(笑)

LINEやメールは、基本大阪弁で返信です。逆に言うと、ブログと掲示板書き込みと仕事メール以外はすべて大阪弁

これが非関西人にはけっこうウケて、

「関西人はメールも関西弁なんだね!ウケる~」

とネット黎明期の頃は評判が良く、かなり調子に乗っておりました。

だから、標準語でブログを書くと普段やらないことをやっているので、無駄に肩が凝るのです(笑

 

しかし、中国に追放される行くまでは大阪から出たことがなく、他地方の人との交わりも、小学校の時を除けばほとんどなし。

何故「小学校を除く」なのか。

 

小学校はふつうの大阪の公立の学校だったのですが、校区に三井物産日立グループ(日立・・・なんやったけな?)の家族寮がありました。

そこから通う同級生・同窓生は大阪人とは限らず、関東や広島、果ては海外帰りの帰国子女まで在籍していました。

さらに、公団(現UR)の団地まで控えていました。同級生が関西弁でも、ご両親が四国や九州、北陸出身という家庭も多かったのです。

学校では関西弁だけではなく、東京弁から広島弁、九州弁、果ては英語やスペイン語まで飛び交う。とどめにキリスト教の布教に来た宣教師の、金髪碧眼の息子と娘(フィンランド人かノルウェー人だったはず)もいて、ここはインターナショナルスクールかよ!?と。

何の変哲も特徴ない公立小学校にしては、一風変わったところがありました。

 

意識はしていないものの、私の言語への興味と方言への免疫はここから始まったかもしれません。

 

 

中国へ渡った後、関西以外の日本人と本格的に接触することになったのですが、時折関西ではふつうに使っている言葉が通じていないことがありました。

今回は、方言にまつわる頓珍漢な会話を。 

 

 

 

登場人物:

私:説明不要の大阪出身。

 

A子:元カノ。長野県某所出身。喋る言葉は標準語。見た目が小学生で性格もおとなしいが、猛獣(私)を意のままに操るので裏で「猛獣使い」と言われている。

「母親が関西出身だから、(長野県人の中では)関西弁に免疫がある方だよ」

と本人の自己申告あり。

 

T:私と同い年で同郷。言葉は河内弁。元暴走族の番長のせいか、見た目も言葉も怖い。しかし弱い者いじめが大嫌いなど正義感は強い。

 

S:新潟市出身で言葉は標準語。関西弁には全く免疫なし。某俳優そっくりのイケメンな上に金持ちで育ちが良いので、国籍問わず女にめちゃモテる。

 

 

 

エピソード1

部屋で彼女と私がまったりくつろいでいた時、テーブルの上にコップが置いていました。

 

私「A子、悪いけどこのコップなおしといてんか

 

A子「え?」

 

私「このコップなおしといて~

 

A子「・・・(コップを手に取り、不思議そうに眺めている)」

 

私「おいおい、どないしたんや!コップなおして言うたやんか~」

 

A子「(不思議そうな顔で)どこも割れてないよ?」

 

私「はぁ????」

 

~解説~

「なおす」は関西ではふつうに、誰でも使っている表現です。
「片付ける」とか「元の場所に戻す」というニュアンスです。
関西ではお馴染みすぎて、これがローカル方言だなんて露とも思わなかったのですが、
このエピソードで、「なおす」が方言だということを知りました。

関東人にとっては、「なおす」は「修理・修繕する」のようなニュアンスなんですね。

 

このエピソードから、「なおす」がどこまで通用するかに興味を持ち、日本各地でわざと「なおす」を使い、反応を試したり地元の人に聞いていました。


西日本:

岡山:「ぜんぜん使う」
広島「自分は使わないけど、意味はわかるし周りも使う」

山口(萩):「使いますよ~」
高松「ふつうに使ってる」
北九州・福岡「ふつうに使う」
熊本「ふつうに使う」

沖縄(本島)「使わないけど意味はわかりますよ」

使う使わないにかぎらず、西日本では沖縄を含めて概ね通用するみたいです。

 

しかし!!

東日本は、確実に言えるのは、静岡県浜松市より東での通用率は0%。
愛知県より東になると急にビミョー(五分五分以下)になってくるのですが、浜松は何故かわかる人が多かったです。同じ静岡県でも、静岡市はボウズ(0%)。
浜松出身の知人いわく、ビジネスで関西の人がよく来るからわかるんじゃないのかなと。

なお、東京・関東には関東版「なおす」の「片す」という言葉があるみたいですね。これは逆に関西で言ったらぜんぜん通用しないですな。


ちなみに、これも関西ローカルで有名な「カッターシャツ」(ワイシャツ)も、浜松が境界線なんだそうです。

浜松より東は「ワイシャツ」だったのが、浜松より西になると「ワイシャツ」「カッターシャツ」が混在していき、愛知県豊橋市になると「カッターシャツ」で統一になるんだとか。

あ、ソースは『探偵ナイトスクープ』です(笑)

 

数年前、資料収集で東大の図書館に行ったことがあるのですが、本をわざと受付まで持ってきて、
「この本、なおしといてくれます?」
と言ってみました。
すると全くの無反応。が、これはやはりなと予想内。
次に、
「この本、元の場所に置いておいてくれます?」
と。すると予想外の反応が!

 

 

 

「自分で戻して下さい」

 

無表情で対応する職員。おねーさん、美人やのに無表情は怖いって(汗)
東大図書館は、部外者が招待状なしで入れる太っ腹大学図書館なのですが、こんなところが予想外のケチでした。本くらいなおしてくれよ~(笑)

 

エピソード2

 

A子と私、TとSで香港へ遊びに行った時のこと。

 

T「みんな、もう夜やさかいそろそろ中国に往(い)のか。みんなえらそうやしな」

 

私「せやな~。もう歩きまわって・・・あかん、ホンマえらい

 

A子「(ニコニコして相槌を打っているが、内容は絶対わかっていない)」

 

S「な、何言ってんすか?」

 

T「往ぬぞ言うとんねや!(怒」

 

S「それがわからないって言ってるんですよ!(怒」

 

(その後、TとSには険悪な空気が・・・)

 

~解説~

「往ぬ」「帰る」という意味です。
平安時代から残る言葉で、『竹取物語』のかぐや姫や、『源氏物語』の光源氏も使っている、由緒正しいお上品な言葉です。
それを、由緒正しくもないお下品な大阪人が今でも使っています。
大阪市内で使う人は少なくなりましたが、南部ではふつうに使っています。淡路島でもちょくちょく耳にします。

 

「えらい」は、実は「しんどい」「疲れた」という意味なのです。
大阪弁、それも南部と和歌山ローカルなのかなと思っていたのですが、AzuYahiさんの本文によると、愛知県でも使われているようですね。

関西はどちらかというと「しんどい」が優勢なのは確かですけど、「えらい」を使う人も意外に多いです。
かく言う私も、一人の中で「混在型」なのです。「えらい」だけじゃなく「しんどい」も使います。
特に同じ関西でも滋賀県東部は、関西といっても言語的にはほぼ岐阜弁エリアなので、「えらい」が多いのは頷けます。

以前、私ではないですがこういう会話がありました。

A「こんな重いもん持って、自分えらいやろ」

B「そんなことないですよ!」

A「そうか、ほんだらもっと重いもん持ってもらおかw」

この会話のどこがズレているのか、もうおわかりだと思います(笑)

 

エピソード3

 

留学が終わり、A子と私が荷物を整理していた時のこと。

 

A子「この服どうする?捨てる?」

 

私「せやな・・・もう古いさかい袋入れてほっといてくれる?」

 

A子は服を袋に入れてその場に放置

 

私「あれ?それほっといて言うたやん?」

 

A子「(笑顔で)のぶちゃんそう言ったからそのままにしてるよ」

 

私「はい??(んなこと言うとらんっちゅーねん)」

 

~解説~

「ほる」「捨てる」という意味で、関西ではそこら中で行き交っています。
同じ意味で「ほかす」もあり、これも関西に住む時の必須ワードですね。
あまりにお馴染みすぎて、関西弁と思っていない関西人は多いはず。

その後の話ですが、言われてみると「ほっといて」って確かに「放置プレイ」って意味にも聞こえますね(笑)
関西弁ユーザーだからこそ、その盲点に気づきませんでした。

 

エピソード4

 

金持ちボンボンのSが、当時最先端ゲーム機だったプレステ(初代)と専用テレビを買い、お披露目した時のこと

 

私「これがウワサのプレステか!テレビもさらやん!めちゃええな~」

 

S「お、お皿のテレビって何ですか?」

 

~解説~

「さら」とは、「新品」という意味です。「さらぴん」とも言います。

「さらぴん」を変換してみると、「皿ピン」と出ました。

 

 

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でも、こういうわけではありません(笑)


でも、「まっさら」とは関西以外でも言いますよね?
え?言わない?
おそらく、その「さら」が転じて「新品」になったのだと思います。

我々は、たとえば「さらのiPadという風な言い方をするのですが、

 

 

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決してこういうものでもありません(笑)

 

 エピソード番外編

 

M:北海道の港町出身の道産子。世界放浪の旅中。「なんでウニを金払って食うんすか?海潜って穫ればいいじゃないっすか」が口癖。いつも金髪でサングラスだが、ピュアでシャイなのでけっこうかわいいキャラ。

 

 バックパッカーとして世界中をブラブラしていた時のこと。大阪~上海の船「蘇州号」の中で出会ったMが、船の服務員のおねーちゃん(中国人)に惚れてしまいました。しかし、どうやらフラれた模様で、ピュアなMは上甲板のベンチで凹んでいました。

 

M「のぶさん、その(彼と彼女の筆談)メモ、もう投げといて下さい・・・」

 

私「あいよ(と丸めて甲板にポイッと放り投げる)」

 

M「何してんすかぁ~~~~!!ww」

 

私「お前、投げろ言うたやんけ!ww」

 

~解説~

「投げる」は北海道の方言で、「捨てる」という意味です。
最近、方言に関するテレビ番組が増えてきたせいか、有名になりましたね。

 

しかし、以前はかなりマイナーだったようです。
私が「投げる」を知ったのは、実は小学校高学年か、中学生の頃でした。
かのクイズダービーの問題として出たのがきっかけです。


www.youtube.com

 

クイズダービーがわからない方は、この動画をどうぞ。

わかっている人も、懐かしいなーと遠い目でご覧下さい。

篠沢教授井森美幸のコンビだから、1980年代後半かな!?

しかし、二枠の井森美幸が三択以外で珍しく正解してる。レアな動画や(笑)

 

ついでに2015年の完全復刻版もどうぞ。めちゃ面白かったので是非来年も!と思ったけれど、この直後ですね、巨泉さんが亡くなったのは。

www.youtube.com

 

リアルに「クイズダービー」を知っている人ならわかるように、通算正解率約8割という化物回答者、はらたいらさんを何とかして不正解にさせようと、放送作家数十人が寄って集まって知識と知恵を搾り出したものを問題ににしていました。
後で大橋巨泉さんも言ってましたが、クイズダービーはらたいらvs放送作家連合軍」の戦いだったと。

「投げる」が問題になっていたということは当時(昭和60年代)、博覧強記を超越した人間GoogleWikipediaはらたいらさんでさえ、これは知らんだろうというほどマイナーだったということでしょうね。

はらさんが正解したかどうかまでは、さすがに覚えていません。

 

こういう経緯もあって、「投げる」は昔から「知識」としては知っていました。

しかし、いざ目の前で言われるとめちゃ困惑しますね。
何も疑わずポイッと「投げて」しまいました(笑)

 

こうやって書いてみると、方言って非常に面白いなと感じます。

自分が方言ユーザーという事もありますが、方言も文化の一つ。それを捨てるのは非常にもったいない。自分が培った文化をも捨てるに等しい。

幸い、方言を見直そうという動きになっているそうですが、方言の誤解で楽しむのも人生の一つ。そこは笑って済ましましょうや。

 

いやー、方言って、ホントに素晴らしいですね!

・・・水野晴郎風にどうぞ(笑

 

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