昭和考古学とブログエッセイの旅

昭和の遺物を訪ねて考察する、『昭和考古学』の世界へようこそ

外国人特集番組は何故欧米人ばかり取り上げるのか?疑問に思うなら番組に聞け!

 

日本に観光に来る外国人

日本を訪れる外国人観光客の数は年々増え続け、平成29年(2017)で2800万人を超えています。最初は国でさえ、2000万人超えればいいんじゃないと考えていたのですが、予想以上の増加ぶりに対策が追いついていないくらいです。
故郷の沿線が関空の近くなので、JRの関空快速や南海の空港急行に乗る機会が多いですが、車内は無国籍料理の寄せ鍋状態。日本語が全く聞こえないことも多々あります。

それによる軋轢もあるにはありますが、外国人観光客の増加は良い傾向だと思います。

 

そのブームに乗ったか、最近は少し下火になりつつあるけれども、「外国人から見た日本」という番組が乱立した時がありましたね。

確かに日本はすごい!ばかり連発する番組には飽き飽きすることは確かですが、我々が知らなかった日本の勉強になり、目からウロコな事も多く見受けられます。要は視聴者の見方次第です。

 

以前にどこかの記事で書きましたが、外国語学部がこの世にある目的は、異国と異文化の研究です。

外大って、けっこう誤解されていますが、外国語を習う語学学校ではありません。外大=語学学校ならこの世の外大はすべて専門学校に格下げ、語学学校に売り払ってしまえ!というのが私の持論であります。

外国の研究をさらに奥へ進めていくと、「異国・異文化を鏡にして、日本文化を観察する」という究極の目的が見えてきます。外国語学習者がこの境地まで至れば、「外国語道」としては悟りに達したと言って良いでしょう。
それを一般大衆にもわかるよう調理し、テレビ番組として成立している現代は、外国語学にとっては夢のような時代です。その現実の真っ只中にいるから、我々に自覚がないだけで。

 

「外国人に日本を語ってもらおう」という方針自体は、私も賛成です。

海外で暮らしているメリットの一つに、

「日本や日本人を、客観的に見ることができる機会がある」

ということがあります。日本にいると見えない日本・日本人が、海外にいるとよ~~~く見えてくるのです。

客観的に日本や日本人を見ていると、もちろん醜いところも見えてきます。私は昔から欧米式の個人主義者。他人に全く干渉しないイギリスやフランスくらいがちょうどいい湯加減なので、日本独特の、個人主義とは逆のネチネチ感・ドロドロ感に辟易することもあります。

しかし、それ以上に良いところ、美点が見えてくる。細かい欠点はあるものの、最後には「日本っていいな~(by和風総本家)」になる。それを外国人視点で気付かされることが多いのです。その視点をテレビ番組として構成しているだけだと。

 

 

こういう番組の動画を見ていると、判を押したように次のようなコメントをしている人がいます。

「欧米人ばかり」

「なぜアジア系を映さない」

欧米人ばかり映して日本人のコンプレックス丸出し、アジア系を映さないはアジア人への差別だと、なにやらどこかで聞いたことがあるテンプレのような文言が並びます(笑

 

こういうコメントを見る度に、思うことがあります。

「だったらネットで吠えてないで、番組かテレビ局に直接聞けよ」

 こういうのは、なんだただのテンプレかと流すのは簡単。しかし、0.5理くらいはあるんですよね。 

別に本人が気にしていればいいだけなので、ほっとけばいいのですが、「外国人から見た日本」を代表する番組に聞いてみました。

 

 

世界!ニッポン行きたい人応援団

 

www.tv-tokyo.co.jp

 

個人的に、この番組は好きです。不定期2時間スペシャルの頃から見ているのですが、最近ネタ切れの感が否めません(笑

しかし、外国人の目を通して我々が知らなかった日本を再確認したり、外国との感じ方の違いなどを勉強できる、良い番組だと思います。この番組は、変な知識が身についた大人より小学生~中学生に見せた方が、感受性が強い分より強く「外国」を感じるだろうと思います。

 

この番組のもう一つの良いところは、ネットをフルに利用しているということ。

世界中に宣伝すべくFacebookやTwitterをフル活用し、果てはYoutubeのライブ放送で全世界に生放送と、かなりの気合の入れよう。

外国人から「ネタ」を仕入れないといけないので、当たり前の方法と言えば身も蓋もないですが、既得権益の上で胡座をかいているテレビ業界にしてはフットワークが軽い。

 

それによって、視聴者にも思わぬ副作用が。

それは、SNSでスタッフに直接コンタクトが取れること。この番組スタッフさんもマメなもので、コメントしたらマメにレスをくれたりするのですが、スタッフと視聴者がこんなに近いのだから、疑問があれば直接聞けばいいんじゃないかい?ブツブツ言ってる人はFBの公式ページ見てるの?Twitterでフォローしてるの?

去年のかなり前なのですが、一度SNSで直接聞いてみたことがあります。

 

「番組、欧米人が多いですけど、何故アジア系はいないのですか?」

 

番組の、たぶんディレクターさんの回答を私なりに意訳すると、以下の通り。

 

・アジア系の応募自体が少ない

 

・いても漠然とした「日本好き」や、アニメやマンガ好きなどの「定番」が多くて、平たく言っちゃえば番組のネタになるような人が少ない

(テレビ局もボランティアでやっているわけじゃあない)

 

・番組のネタになるような、「日本のマニアックな分野を深く好きな人」は、やはり欧米系に固まっている

(確かに、ヨーロッパは深く極めすぎな日本オタク、いっぱいいたもんな。アジア系はそれに比べると薄味)

 

・番組がレギュラーになる前、ポーランド人の応募が一時全応募の7割になったことがあった。そのためポーランドを集中的に開拓した時期があった

(「なんでポーランド人が多いの?」という他の人の質問に対して。確かにこの番組が不定期放送のころ、ポーランド人の応募が殺到し、スタッフがポーランドについて勉強会を開いたと言ってたもんな~)

 

番組スタッフさんは、「欧米系に固まっている」現実はきちんと認識していて、今後はアジアや他の地方を開拓していきたいとのこと。言及はしていないですが、一時期南米の露出が多かったのはアルゼンチンを中心に開拓中やなと察することができます。個人的にも、中南米は堀り甲斐あると思いまっせー。

しかし、人員と予算が・・・と別コメで嘆いてらっしゃったので(夢を売る商売人がそんな現実漏らしていいのか?)、なかなかエリアを広げることができないのも現実なのでしょう。

 

クソ忙しいはずなのに、下らない質問にも懇切丁寧に答えてくれたスタッフさんには感謝です。もうこんな下らん質問はしないのでご安心を(笑

 

 

Youは何しに日本へ?(以下『You』)

 

www.tv-tokyo.co.jp

 

外国人を取り上げた鉄板番組かつパイオニアとみなされている、知名度も高い番組です。見てる方もけっこういると思います。

しかし本当のパイオニアは、同じTV東京系列の『和風総本家』(2008年)や、政府の国家戦略から始まったNHKの『Cool Japan』(2006年)です。後者は「You」の倍以上の期間やっていますが、ターゲットが外国人な上に放送もNHK-BSか、海外でしか見られないNHKワールド、日本での知名度はさほど高くありません。

それに比べると、2013年レギュラー化*1の『You』は、5年目とは言え意外と最近なのです。

 

 

『You』と似たようなものに、関西限定でこんなものがあります。

関西人なら知っている人も多いんじゃないですかね。

 

ロザンの道案内しよッ!

www.youtube.com

 

お笑いコンビのロザンが、外国人の道案内をするという、「ちちんぷいぷい」という関西ローカル番組の一コーナーです。

『You』とコンセプトが似てそうですが、3つの点で違っていたりします。

 

①『道案内』は外国人より、ロザン菅のハチャメチャ英語が見もの。しかし、そんな英語でもなんだかんだでコミュニケーションが取れている不思議さを味わうのが、このコーナーの醍醐味

 

②『道案内』のコンセプトは「外国人の道案内」。今もそうだけど、それは1年くらいで崩れ今は日本人でも誰でも容赦ない。大阪風にネタになれば誰でもいい。ただし、日本人は9割以上女性なのがお約束w

 

③いつスタートかは知らないけど、『You』より歴史が古いことは確か

 

ロザンは毎週火曜日のお昼に、この番組ロケで大阪駅前に出没していることがわかっているので、最近はそれを狙ってわざと出没する関西人が多いです。Twitterでは「ホンマにロザンおるわ!」というギャラリーのツイートの多いこと。

関西では、『You』はこれパクったやろ疑惑がまことしやかに流れているのですが、『道案内』の見どころはロザン菅のJapanglishなんてものじゃない、崩壊寸前の英語。それでもコミュニケーションが取れている。

海外行きたいけど英語しゃべれないから・・・という人は、この番組を見た方がいいと思います。こんなメチャクチャな英語でOKなんや!とめちゃくちゃ自信がつきますから(笑)

 

『You』は時折、関西空港にも足を伸ばして取材しています。ある日、本当に取材してるのか?と、一度関空へ見に行ったことがあるのですが、本当にいてビックリしました。腕章をつけたスタッフが走り回ってましたね(笑

「お仕事中」なので声をかけることはなかったのですが、後でテレビ東京に電話をかけて聞いてみました。

 

「なんで欧米系ばかり取り上げるの?」

 

答えはある意味予想通りでした。

 

「そんなことはないですよ」

 

『You』をずっと見ている私にとってはわかります。欧米人ばかり映っているわけではなく、けっこうまんべんなくオンエアされていると思っているので。

アジア系でも、香港や台湾はそこそこ露出してるし、タイやインドネシア、マレーシアはヘタな欧米系より多い。

そもそも彼らにとって、インド人やパキスタン人、スリランカ人はアジア人にカウントするの?アジア人?あんた勝手やな~彼らは「肌が黒い白人」で人種的にも言葉的にも明らかに「ガイジン」なんやけど。インド人は混血のメキシコ人やブラジル人よりは確実に「黒いけど白人」やで。

 

しかしながら、それでも明らかに少ないな~と私でも思うのが、中国と韓国。中国はたまに出てくるけど、韓国はめちゃ多いはずなのに出てこない。

まあ、もっと出てこないのはベトナム。『You』を見続けて4年、ベトナム人は3~4回しか記憶にありません。個人的に見たアジア人の中でいちばん少ないのはモンゴルで、過去1人しか見たことがない。カザフスタンやウズベキスタンでも3~4人はいたのに。

 

中国がなかなか出てこないのは、なんとなくわかる気がします。

理由は、彼らは団体で来ることが多いこと。個人旅行はビザの都合でまだ非常に少ないのです。また早朝・深夜の便の到着が多い上に、団体ツアーは分刻みのスケジュール。一息つけるのは中国に帰る便の待ち時間のみという弾丸ツアーもあるので、インタビューされても答えるヒマがないという事情もあると思います。

おまけに弾丸ツアーに密着しても、ネタなんてほとんどないと思います。

 

あと、番組も一人でやっているわけではありません。

『You』は成田だけでも3班に分かれているらしく、それぞれインタビューする趣向性が違ってきてもおかしくない。

アジア系に声をかけたら「日本人です」とクールに言われ、それを教訓に欧米系ばかりインタビューするスタッフもいるかもしれない。活動した時間帯が、欧米からの着便が集中していた時かもしれない。

 

最終的には編集する人にかかっているわけですが、別に欧米人バイアスがかかっているとは思えません。

 

「欧米人が多い」とか言う人は、そもそも「欧米人が多い」という先入観で番組を見ています。そのフィルターを通して見ていると、メキシコ人やブラジル人、マダガスカル人も、ウズベキスタン人も、スペイン系フィリピン人も、み~~んな「ガイジン」に見えてしまう。

彼にとって「ガイジン」はイコール欧米人。そのフィルタでものを見ていると、「ガイジン=欧米人」の一括りでカウントしてしまうため、「多い」となるのです。

外国人慣れしていないと、確かにみんな「ガイジン」に見えるのでこういう思考に陥ることが多いですが、彼らの思考で面白いのは、国際法・国籍的には明らかに「ガイジン」の日系アメリカ人やベトナム系フランス人、イギリスのパスポートを持っている香港人は、「ガイジン」にカウントしていません。何故ならば顔がアジア人だから。

つまり、思い込みと見た目だけでカウントしているのです。

彼らの中には「アジア系ではない顔=ガイジン=欧米人」という確固たる信念(?)もあるため、そういう顔の人はタイ人でもトルコ人でも、本人が違和感を感じる顔つきの人は、無意識のうちにみんな「欧米人」にカウントしてしまう。そりゃ彼らの中では世界中のほとんどが「ガイジン」になりますわな(笑)

 

これを心理学で「確証バイアス」と言います。

  

ネットであれこれコメントするのは勝手ですが、彼らは「書きたい」だけで本当に疑問に思ってなんかいません。テレビ局を叩きたいとか、日本人を叩きたいとか、そういう目的にしか思えません。それか確証バイアスでそう思い込んでいるだけか。

彼らは、「知りたい」を目的に書き込むのではありません。ひと言で片付けたらただの自己顕示です。書き込むことによって、自分を「偉い」と思いたい、思わせたい心理が働き、それで満足してしまいます。ベクトルが自分にしか向いていないから、既に答えが出ているような疑問を書き込んだりする。

番組に聞いたらちゃんと答えが出ます。ほーら、聞いたらちゃんと答えてくれるでしょ(笑

*1:不定期深夜番組としては2012年から