昭和考古学とブログエッセイの旅

昭和の遺物を訪ねて考察する、『昭和考古学』の世界へようこそ

JKの車購入炎上騒ぎとシャーデンフロイデ

車を買ったJKが叩かれる

昨日Twitterで、ある話題がトレンドになっていました。

 

JK車買うツイッター

あるJKが車の免許を取り、バイトをしてお金をためささやかな夢だったマイカーをGETしたというお話。

私のアカウントのTLにも、このツイートが流れてきました。

全くの通りすがりながら、

「小さいながらも自力で夢を一つかなえたか」

よかったなという気持ちでイイネを押させていただいた一人でした。当然、それに対し何の悪感情を持つことはありませんでした。こんなツイートにそんな感情を抱くはずがない。

ところが、これが意外な展開を見せたそうです。

マイカーを持った喜びをTwitterで表現した彼女、

「高校在学中に免許なんか取るな、勉強しろ!」

「高校在学中に免許取って車買うなど頭悪いに違いない」

「薄っぺらい自慢乙」

「どうせ親の金で買ったんだろうが」

「顔見せないのはブスだからだろ」

 

など、いわゆる糞リプが大量に湧いてきて炎上。制服を来ていたため学校まで特定されそうになり、ショックを受けたか彼女はアカウント自体を削除したそうな。

それを聞いた時、リアルタイムで彼女のツイートを見てイイネを押した人間として唖然としました。なんであれが炎上するんだ?というかあれのどこに炎上する要素があるんだと。

Twitterの世界、いわゆる「ツイッターランド」は、何の理由で燃え上がってしまうかわからない修羅の国。

「みんなやっているから」

と安易にTwitterに手を出すと、修羅の国の魔物どもの餌となりかねない。ヘタすればPTSDになりそうな魔界です。私もそれを自覚しつつ、ブログ営業ツールも兼ねて魔界ツイッターランドを満喫しています。しかし、今回はそんな「魔界の住人」の私でも理解不能なほどの斜め上でした。

「叩かれた」という事自体がデマだという話もあります。が、今回は事の真偽を評する記事ではないので関係ありません。

この騒ぎに対し、私がとっさに頭に浮かんだことは、

「ああ、シャーデンフロイデか」

ということ。車を買ったという事実に対する、人間のどす黒い感情…今回はこのお話をすることにします。

 

 

シャーデンフロイデとは

 あるたとえ話をします。

 

2020domaneSL5

今日、私はロードバイクを買いました。

ダイエットと基礎体力維持、そして糖尿病予防という、なんとも現実的すぎる理由で自転車に乗り始め、自ら沼にダイビングしたのですが、欲しかった機種と色なので喜びもひとしおです。

正直、なかなかいい値段しました。JKの中古車と同じ値段くらいはしたのではなかろうか。

 

これに対し、見る人によってざっくり3つの反応が生まれると思います。

反応その1は、いいですね~、自分はどこそこのメーカーの乗ってます的な、同じロードバイク乗りの方。

反応その2、自転車に興味ないのでスルー、良くてあっそ程度。

もう一つのその3が、

「俺だってこれくらいの自転車買えるわ!」

「自慢乙」

「こいつがこんなの買うなんて許せない」

「ロードバイク乗りうざい」

などといったマイナスな感情。

 

で、買った初日に、なんと盗まれてしまいました!コンビニでトイレに行くくらいなら…とチェーンつけ忘れた私が悪いのですが…。得意絶頂から一気に失意のどん底、あべのハルカスどころかグランドキャニオンの谷底に落ちた気分です…。

その3の感情を抱いていた人は、

「ざまーみやがれ!」

「ワロスwwwwwwww」

「こいつアホやwwwwwwwwww」

さらにこんな感情を抱くことでしょう。

黒字で書いた感情が、いわゆる「妬み」。後半の赤字が「シャーデンフロイデ」です。

妬みは嫉妬と混同することがあります。我々素人には実質同じと解釈して良いのですが、中野信子著『シャーデンフロイデ 他人を引きずり下ろす快感』によると違うようです。長いですが引用します。

「嫉妬が、自分の持っている何かを奪いにやってくるかもしれない可能性を持つ人を排除したい、というネガティブな感情であるのに対し、妬みは、自分より上位の何かを持っている人に対して、その差異を解消したいというネガティブ感情です」

 恋愛に例えるとわかりやすいと思います。会社の同僚Aさんに対し、

嫉妬:彼氏を奪われるかもしれないというAさんを排除する感情

妬み:自分には彼氏がいないのに、Aには彼氏が…別れたらいいのにという感情

 

シャーデンフロイデは、妬みを母親とする第二段階の感情です。JKの一件だと、妬み攻撃で幸せの絶頂だったJKを攻撃し、谷底に引きずり下ろした上で、

「やった!」

「ざまぁww」

と喜ぶマイナス感情です。一言で言えばメシウマの感情です。

しかし、シャーデンフロイデは妬みがないと発生しない感情でもあります。学術的・専門的なシャーデンフロイデの範囲は以上のとおりですが、妬みも含めて「広義のシャーデンフロイデ」と捉えても良いのではないか。私はそう定義しています。それが正解かどうかはさておき。

 

 

封印された感情と開放された感情

以下は私の持論です。

人間の四大感情として

喜怒哀楽

があります。この言葉、元は四書五経の「四書」の一つ、『中庸』に書かれている一節です。

しかし、私はこれにもう2つの感情を加えたい。

それが「恐」「妬」

「恐」はそのまま恐怖ですが、「妬」は妬みはもちろん、もっとどす黒い何か…ルサンチマン(≒劣等感)や自分の不幸を呪い社会を恨む感情、もちろん、シャーデンフロイデも「妬」の中に入ります。

これも立派な感情の一つで、人間しか持たないとされています(現時点ではチンパンジーやサルの社会では見られない)。そういう意味では、とても人間くさい高度な感情と言えます。

しかし、あまりに強大で、扱い方を間違えると社会一つを破壊してしまう負の感情。そのため、「喜怒哀楽」という表の感情に入ることは出来ず、裏感情の世界のボスとして「封印」されたのが実情でしょう。そんな感情、そもそも存在しないが如く。「臭いものに蓋をする」日本文化ならではです。

中国では、上に書いた『中庸』の喜怒哀楽の他に、民間の間で伝わっている「五情」というものがあります。喜怒哀楽は変わらないのですが、それに「怨」(うらみ)が加わった5つの感情。こちらの方がマイナス感情もしっかり把握しており、しっくりきます。

この「妬」、「世間体」や「法の遵守」などの倫理観で封印されていました。

が、ネット社会が発展していくにつれ、普段は意識することも少ない負のエネルギーを、ネットで発散できる悪魔のリンゴを人は知ってしまいました。この果実を知ってしまった人間はリミッターが外れ、「封印」されていた妬みやシャーデンフロイデなどの真っ黒い感情をむき出しにしてきます。

ネットの世界では、自分の努力のなさを棚に上げ、他人の成功や幸福を蔑み叩く人が多いのが現実です。ネットに吐き出している以上、普段でもそれを抱えつつ生きているが、リアルで露出してしまうと社会的地位を失うこともあります。だから「封印」している。

しかし、匿名のネット世界では思い存分「開放」できる。止める人は誰もいない。それがたまに犯罪となって露出することもありますね。

Twitterはその負の感情を吐き出しやすいシステムなのか、特に目立ちます。JKの一件も、おそらく最初は経済的などの理由で車を買えない人が叩き始めたのだと思います。が、それが燃え広がり、全く関係ない、ただ単にストレス発散のために叩く人まで雪だるま式に増殖してしまったのでしょう。

ツイッターランドで客観的な視点を持ち理性を保ち続けるのは、鍵をつけて引きこもらない限りなかなか難しい…。

 

人間のどす黒い闇と毎日対峙している職業があります。裁判官です。

もうかなり前の話ですが、ネットで知り合った裁判官の知人がいました。裁判官は業務以外で自ら裁判官と名乗ってはいけないのか、最初は

「法律関係の仕事です」

と。私も、

(司法書士か弁護士かやろ)

で深く考えることはなかったのですが、いろいろ話をするうち、私も意地悪なので状況証拠を積み重ね、ン年後のリアルで会ったある日、確信を持って

「自分、裁判官やろ! m9( ̄∇ ̄) 

と大振りしてみました。

知人は、あ!バレたかいう表情をして舌を出しただけ。向こうからは全く名乗っていません。

私も裁判傍聴に何度も足を運んだので知っていますが、民事訴訟は、程度によりけりですが、人間不信になるような黒ボールの投げあいが多い。あのどす黒い感情の肥溜めを見ると、結婚もしたくないし財産も要らない、いや人との関わりすら要らない(笑)凶悪犯の刑事裁判が、砂漠の中で出会った一杯の清涼水のように感じます。

知人は、天才となんとかは紙一重とはよく言ったものだと、ネジが数本くらい外れたような性格だったのですが、ある日、毎日人間の「魔」の部分と向き合って人間やめたくなる時もある。のぶさんはネジ外れてるなと笑うけど、プライベートじゃネジ3本か4本くらい緩ませないと人としての理性が保てないと、メールでつぶやいたことを覚えています。

「ここだけの話やけど」

知人は言いました。

「せやからうちの業界、アル中多いで~(笑)」

真偽のほどは定かではありません。

 

魔物との遭遇

あまりの「反響」に彼女もビックリし、ショックを受けたのでしょう。彼女はアカウントごと削除してしまったそうです。

人生経験が豊富で、ネット社会のノーガードの殴り合いも、ツイッターランドの魔界の修羅場も経験した人であれば、これくらいの炎上は

「はいはいルサンチマン乙」

でスルーすることもできるし、適当にいなすこともできます。私もツイッターやこのブログでもちょくちょくバズるのでわかりますが、一度バズったら糞リプが大量に湧いてきます。が、いちいち相手していてもキリがありません。相手が必死に糞リプしている間、私は糞リプご苦労さん~とベッドで寝転びながら本でも読んで充電する、金持ち喧嘩せず。

しかし、JKくらいの経験値だと糞の塊を真正面から受けてしまったのでしょう。人間のもっともダークな部分に巣食う魔物を、スキルも知識も見識もないJKがまともに相手できるわけがないし、それは無茶な相談です。まあ、制服はちょっと無防備すぎ。ネット社会の怖さを知らないJKならではでしょう。

アカウントを削除した彼女が、今どこで何をしているのかはわかりません。

ただ、魑魅魍魎はびこるツイッターランドから離れ、心ゆくまで車ライフを楽しんで欲しい。そして自分のお金と努力で得た車と「学習料」は無駄ではなかったと思います。それが、おそらく10年後くらいにわかるのではないかと。

 

シャーデンフロイデは誰でも持っている感情

妬みを含めたシャーデンフロイデ、他人事ではありません。人間であれば誰でも持っている感情です。かなりどす黒い感情なので、自分がそんな感情の種を有していることすら認めたくない…気持ちはわかります。しかし、持っています、確実に。

ある日「被害者」になるのもネット世界ですが、「加害者」になるのも然り。妬みの感情をどう処理するのか、これは非常に難しい。相当エネルギーの高い感情なので、頭の中の観念論では処理できないのです。

しかし、

「自分にはこういう負の感情があるのだ」

これを認めるだけで非常に楽になり、シャーデンフロイデをコントロールする術がわかってきます。それに向き合えない人こそ、妬みとシャーデンフロイデに心が支配されることになるかもしれません、それも本人が無意識のまま…。

 

シャーデンフロイデを含めた人間の黒い感情に興味を持ち、少しは面と向かう勇気を持ったなら、その名も『シャーデンフロイデ 他人を引きずり下ろす快感』(中野信子著)他の本をお読み下さい。もっと具体的、かつ深く掘っておられます。

 

シャーデンフロイデ 他人を引きずり下ろす快感 (幻冬舎新書)

シャーデンフロイデ 他人を引きずり下ろす快感 (幻冬舎新書)

 

 

シャーデンフロイデ: 人の不幸を喜ぶ私たちの闇

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