昭和考古学とブログエッセイの旅

昭和の遺物を訪ねて考察する、『昭和考古学』の世界へようこそ

ファーウェイ問題に見る国家の信用

米中対立 ファーウェイ

 

アメリカと中国の貿易戦争が加熱していますが、その中で少し忘れられがちであったファーウェイ(華為技術)も新たな動きが出てきました。

 

アメリカの、事実上の華為製品全面禁輸に対し中国がこんな声明を出しました。

 

 

中国外相、米は「ファーウェイいじめ」(時事通信) - Yahoo!ニュース

中国外相いわく。民間企業に対して制裁なんていじめじゃないかと世界に向けて訴えているわけです。


まあ、言葉尻だけを取ると、ごもっともかもしれません。ネットをやっていないと、おそらく
「中国様のおっしゃるとおり!」
テレビの前でシュプレヒコールを発していることでしょう。

 

そんな中、この中国の言葉対し、世界の様々な分野からの心の中の声が聞こえてきます…

Google「なんだって?」
Twitter「なんだって?」
Youtube「なんだって?」
WSJ/NYT*1「なんだって?」

欧米企業だけではありません。
FC2「なんだって?」
エキサイト「なんだって?」
Yahoo!Japan「なんだって?」


「一企業」に対し国家が前に出てきて代弁する自体、何かあるなと勘ぐられてもおかしくないし、中国はこのような「羊頭狗肉」商法が十八番、中国に住んでいると「羊頭狗肉」を見ない日はありません。華為だけでなく中国の企業は皆、共産党の息がかかった「民頭共肉」、つまり共産党=国の管理下にあるのは明白です。会長の娘が、国が発行した正式パスポートを5つも6つも持ち、偽名(?)まで使っている企業が、「国と関係ありません」なんてこれほど説得力のない言い分もありません。
そんなことは世界中知っているのに、
「一企業に対するいじめだ!」
と悲鳴に似た抗議の声を上げている姿が滑稽だというわけで。

 

そもそも、アメリカは
「フェアにやろうぜ」
ということで、同じ土俵に立って真っ向勝負すればいいだけ。
ですが、海外の技術をストローで吸い取って成長した企業に、それは望めません。同じルールでやれば負けることを向こうもわかっているからこその「いじめるな」という感情論なのです。

 

そもそも、中国人は他人の技術を盗んだり流用することに対し、ほぼ罪悪感がありません。それどころか、他人の知恵、ここでは技術も含みます、を盗んで自分のものにするのは「大智」と言い、智恵者の証明でもあります。
ここで誤解なきよう解説しておくと、彼らは技術盗用などが違法だという自覚はあります。しかし、違法であっても「金や地位・利益になることなら何でもする。死生観がないので生と金への執着が激しい」(by李登輝元台湾総統)中国人は、遵法精神という理よりも、生きる・金儲けという「本能」が優先になってしまうのです。
アメリカや世界のルールはわかっていても、生き延びるためには何でもありの中国世界で生きていれば、ルールやマナーより
「生き延びること」
が最優先になり、結果的にルール無用になると。
中国人が海外でマナー無用の行為をするのも、根っこはここにあります。


一中国ウォッチャーとして華為問題だけでなく、中国への世界中の様々な反応を見てみると、この国に対する特徴が見いだせます。
それは、国としての信用が全くないこと。

中国を冷静に見ているほとんどの人は、この一言しか出ないでしょう。

「どの口が言っているんだ?」

中国がいくらいじめだ何だと泣き言を言っても、同情してくれる国はどこにもない。同情するなら金をくれとわめいても、手を差し伸べてくれる国はなし。

アメリカに逆らったらうんぬんはあくまで側面、中国の四面楚歌は単に国としての日頃の言動が露呈しただけ。要は普段どういう目で自分が見られているかということ。過ぎたるは及ばざるが如し、傍若無人の一定ラインを越えた俺様中国には、その視線が決定的に足りないのです。

 

国家といえども人間が管理運営するものなので、個人だけでなく国にも信用というものがあります。

それを可視化できるものの一つとして、ノービザで渡航できる海外の国の数というものがあります。日本の「ノービザ国ランキング」は世界でもトップクラス常連ですが、それだけではありません。日本人は荷物検査免除や、パスポートに押されるはずの入国スタンプが押されなかったりしたことは、私も特に欧州で経験しました。


まだ欧州に「ユーゴスラビア」という国があった頃、鉄道でその国に入ったことがあります。

 

ヨーロッパ コンパートメント

列車の車両はコンパートメント式という、6~8人*2が一部屋で仲良く同室になるというタイプの座席で、欧州ではよく見かける車両です。
その一室に、私と旅の連れ(日本人)と中国人の若者が二人同室になり、私が中国語を話せることもありコミュニケーションも問題なく、和気あいあいな雰囲気でした。


そうこうしているうちに、ユーゴスラビアの国境審査が始まりました。
鉄道で国境を越える場合、入出国審査と税関の荷物検査の方法は大きく分けて2つあります。一つは、車両から全員が出て別の建物で審査を行うスタイル。もう一つは車内で待機し、スタンプを持った係官が列車に乗り込んで審査するスタイル。
ユーゴスラビアの時も後者でした。縦幅も横幅も大きい係官がいかつい目つきで我々を凝視、なんだアジアの猿どもかとでも言わんかのようでした。
しかし、我々の日本のパスポートを見た途端、目つきも態度も一変。入国スタンプを押しパスポートを返す際、Welcome to our country!!と、ウェルカムドリンクならぬウェルカムボイス。おまけにあってもあまり嬉しくないスマイル付き。女性だったらスマイル10個くらい欲しいのだが。
荷物検査も全くなし。まあ、今までの欧州の国々で開けられたことがなく馴れてしまい、いつものことかと我々は涼しい顔をしていました。

その上、入国カードで私が冗談で

occupation(職業) : Samurai

と書いたばかりに、おおサムライかすげーな!7人のサムライ見たぜクロサワとサムライは最高だとうんぬん。自分から撒いた種とは言え、ええからハンコ押せっちゅーねんと、興奮する係官を尻目に私の方は至って塩対応でした。

 

我々の審査が終わり、中国人二人の番に。彼らの赤いパスポートを見た瞬間、係官の目が再び「アジアの猿」に対するものに。
「観光?どこへ行く?」
「親戚のとこに泊まる?親戚の名前は?住所は?電話番号は?」
塩対応なんて次元ではない、まるで犯罪者前提の警察の職務質問でした。
その上、ユーゴスラビアは元社会主義国。同じ社会主義国の中国の方が「友好的」なはずじゃ…と傍目から見ている我々すら冷や汗ものでした。
荷物検査も、部屋から出ろとリュックを廊下でオープン。我々に対応してくれた、サムライはグレイトだぜの係官ではありませんでした…。

その「差別的対応」に怒った中国人、係官に叫びました。

「なんで日本人と我々で対応が違うんだ!!同じアジア人じゃないか!!」

係官の口からは、こんな言葉が。

"Because you're Chinese, they're Japanese.That's all "
(お前らは中国人、彼らは日本人、ただそれだけだ)

これを放たれた時の中国人の表情は覚えていません。ただ、係官の、関係ない我々ですら背筋に氷を放り込まれたような冷たさを覚えた英語だけが記憶に残っています。

キレた対応が「公務執行妨害」とでも「侮辱罪」とでも受け止められたか、中国人は係官によって車外へつまみ出されてしまい、彼らが戻ってこないまま列車は駅を発車…彼らはおそらく入国拒否だったのでしょう。

同室者を失った部屋で、日本人ふたり顔を見合わせました。中国人側は悪人でもなんでもなかったので、お気の毒としか言いようがないですが、
「あ~日本人でよかった!!」

これが当時の正直な感想です。

 

あまりに出来すぎた話なのでネタではないかとも言われますが、これ、紛れもない実話です。
そして、これが「国家の信用」であり、誰かの本のタイトルではないですが、「国家の品格」。

 

国家と国民は別だという言葉を聞きます。理想論の綺麗事として個人の感情として勝手に思っているのはよろしい。

しかし海外ではそう見てくれません。パスポートを持って海外をほっつき歩いている以上、日本人という民族・共同体やその個人ですら、国の信用と無縁ではありません。日本のパスポートを持ってノービザで海外に行ける…それだけでも国の信用のおかげ。ノービザになったら永遠にそれが続くとでも?国の信用がなくなったら、それがすべてひっくり返って要ビザになるという想像力くらいは持って欲しいものです。

 
華為は「一企業」かもしれない。しかし、中国の国家の性質上、国とは密接にリンクしています。よって、中華人民共和国という国家の信用が直接乗りかかってきます。華為の技術は優秀かもしれないが、国と密接に結びついて他国の情報管理に食い込もうとしている。その国に信用が全くない。国家としての信用がないと、百万言を費やしても白眼視は消えない。華為、いや中国は超大国だとのぼせあがり、信用をおろそかにしてわかっていなかった、否、理解しようと努力すらしなかった。


華為案件に見る中国への冷たい視線を見ると、日本も人の振り見て我が振り直せと、襟を正しその信用にあぐらをかいてはいけません。中国を他山の石とし己をさらに高める、そして少しはずる賢くなる、それが本当の知恵者です。

 

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*1:ウォール・ストリート・ジャーナルとニューヨーク・タイムズ紙のこと。当然サイトは中国からアクセス不可

*2:1等車なら4~6人