昭和考古学とブログエッセイの旅

昭和の遺物を訪ねて考察する、『昭和考古学』の世界へようこそ

輸出実務者が書く、誰でもわかる韓国のホワイト国解除-前編 経済産業省通知解説

先月は全くブログを更新しなかったのですが、それには深い…でもないけれどそれなりの理由があります。

Twitterを見てくれている人はもうおわかりですが、わたくしBEのぶ、ついに「島流し」の期間満了につき本土に戻って参りました。

鉄道がない場所から一気に新快速停車駅へ。それだけでも生活の根本が変わった気がします。京都大阪まで電車一本で行けるぞヒャッハー!!という感じで(笑)

これについてはほんの挨拶代わり。じきに地元関連の記事が増えて行くと思うので、馴染んでるなと温かい目で見守ってあげて下さい。

 

で、今回のメインディッシュは当然こんな近況報告ではありません。近況報告くらいならTwitterでとっくに済ませています。

 

日韓関係険悪

日本と韓国の関係が、史上最悪というほど険悪になっています。

そんな中、先月7月に経済産業省が、

「安全保障上の理由で韓国を『ホワイト国』から外します!目処は8月」

と通告しました。

『ホワイト国』やそれに関する経緯は、すでにたくさんの情報が出ているので、ここでは書きません。

 

それに対し韓国は猛反発。というか、まるでマヌーサとメダパニとマホトーンを同時に食らったかのような大混乱ぶり。こちらはただ、

「1ヶ月後、メラを唱えますよ~。だから準備してね」

と言ってるだけなんですが、メラをメラゾーマと脳内変換した韓国さん、

「輸出規制だ!いや制裁だ!」

とわめくは叫ぶわの大騒ぎ。いやいや、規制でもなんでもないのですが、なるほど、これが韓国お得意の「論点ずらし」かと。

 

ところで、韓国通とくれば有名どころの黒田勝弘氏が、こんなことを言っています。

韓国人の交渉術

詳細は省略しますが、今回の件で韓国は上の①②③すべて出してきました。韓国としては全力を出し切っていささか弾切れ感がありますが、今回は全く効かなかったようです。

あと、韓国「愛」が強い黒田氏が敢えて抜いたのかどうかはわかりませんが、

④「こちらにも落ち度があったがお前も悪い」

と、いわゆる”どっちもどっち論”に持ちこんでくるパターンもあります。

 

そして今日、韓国の数々のもがきもむなしく、『ホワイト国』からの除外が閣議決定しました。今日は決定しただけで、実際の施行は8月28日からではありますが、確定したということで韓国は早速キレキレモードMAX。

 

「今後何があっても、全部日本のせいなんだからな!!」

 

ソウルの一市民の声ならまだしも、大統領がこれですからね。お前は妖怪ウォッチかよと(笑)

しかし笑っている場合ではありません。テロがあっても核爆弾が落ちてきても、原発が爆発しても、全部「日本のせい」にされます。マジメな話、超極端から超極端に走る国民性のこと、向こうはなりふり構わず。自爆テロもあり得ます。

 

そういうわけで、経済産業省はこんな通達をHPから発しています。

www.meti.go.jp

 

ここでバラしてしまいますが、リアルでは輸出管理に携わっております。ネットでは有名な経済評論家の渡邉なんとかさんからは「同業者の臭い」がします。自営業と雇われサラリーマンの違いはあるものの、たぶん同業者でしょう。

ブログで顔を出している歴史家の顔は、これもリアルではあるものの、あくまで100%趣味道楽の世界です。本職が歴史家じゃないですかとよく聞かれますが、違います。

まあ、本当はこれでメシ食いたいんですけどね~。

 

で、貿易・輸出管理に携わったことがない人は、経産省の通知を見ても何のことやらわからないと思います。パブリック・コメントでも国民の95%が「ホワイト国除外」に賛成を出しているのに、やさしく説明しないと興ざめだぜ経産省よ。

というわけで、今回のホワイト国からの除外、関係オオアリクイの実務者なのに、ブログ休んで

「韓国さんお疲れちゃんww」

とトロピカルジュースを飲みながら彼らの狂踊りっぷりをガラス越しでせせら笑ってる場合ではない。

日本人に対しても、きちんと説明した方がよろしかろうと、久しぶりにブログを書いてみることにしました。

 

 

 

 

 はじめに

経産省HPは、まずこの文言からスタートしています。

 

ホワイト国除外韓国経済産業省通達

まあ、ここは大したこと書いていないので飛ばします。

 

 

「輸出管理令」とは

ホワイト国除外韓国経済産業省通達輸出管理令

これがいわゆる「ホワイト国から除外」ということです。

輸出入貿易は、外国為替・外国貿易管理法などの法律に基づいて行われます。しかし法律だけではまかないきれない部分もあり、それを「政令」でカバーしています。「輸出令」または「輸出貿易管理令」もその一つで、輸出に関する政令となり、実務者はこちらに接することが多いです。

その中にはさらに「別表」という、やけに長たらしい補足のようなものがあります。輸出管理関連の資格を取るためには、これらを丸暗記しないといけないのですが、「別表第3」とは何ぞやと。

 

輸出管理令別表第3

(経済産業省HPより)

これが「別表第3」です。

これ、いわゆる「ホワイト国」のリストのこと。でも本名は「輸出管理令別表第3に掲げる国々」であって、法律には「ホワイト国」なんてどこにも書いていません。でも、『輸出管理令別表…』なんて覚えるの面倒くさいでしょ?だから「ホワイト国」と実務者向けにあだ名をつけているのです。

本日付けの経産省通達は、

「ここから韓国を外します」

という意味となります。

 

輸出管理令別表第3改正後

(経済産業省HPより)

これが、韓国が外れた状態の別表第3です。あらー、ホントに外れちゃいました。

韓国がどうあがこうと、決まった以上今月下旬からはこの体制となります。

 

一般包括許可を受理せず

 

経済産業省韓国向け一般包括許可廃止

私が思わず

「キビシー!」

と仕事中に声に出てしまったのが、この項目。しかし、これはたぶん、素人が読むと何がなんだかよくわからないと思います。

 

輸出貨物は、何でも出せる宅急便ではありません。いや、宅急便も国際になると輸出管理令に縛られます。試しに北朝鮮向けになにか、ジャンクのウォークマンでも送ってみましょう。税関大激怒どころか、「不正輸出未遂」で警察が逮捕状を持ってお伺いしてくるかも。でも我々は大丈夫、そもそも郵便局が受け付けてくれませんから(笑)

詳しいことは省略しますが、輸出貨物は大まかに分けて「該当」「非該当」「対象外」の3つに分類されます。それを分類する作業を「該非判定」と言い、メーカーが出す証明書を「非該当証明書」と言います。

「非該当」「対象外」なら、対韓国の輸出でも何の影響もありません。「キャッチオール規制(CA規制)」という手続きをクリアすれば至って平常運転。私は7月の経産省の発表直後にさっさとやりました。

 

ただ、「該当」になると厄介なことになります。

「該当」とは、簡単に説明すると「核兵器や通常兵器、化学兵器や生物兵器やその部品などに使える部品に対する輸出制限」に「該当」する貨物のことで、たとえばミサイルに使う部品や、それを製造する機械など、事細かに分かれております。

輸出しようとするモノが「該当」になったとしましょう。『輸出管理令』第1条による経済産業大臣の許可を得なければなりません。経産省に、

「これ、◯◯国の△△という会社に輸出してもいいですか?」

とお伺いをたて、大臣のハンコ(実際は大臣のハンコを持った誰か)が必要となります。

 

これを「輸出許可申請」と言うのですが、それに対する許可が、大きく分けて3種類あります。

1.個別許可:

チョー面倒くさいやつです。でも基本的にまずはここからスタート。申請から許可までの期間は…わかりません。

2.一般包括許可:

個別申請は一契約ごとに行わなければならず、時間もかかるし書類も山程必要。なら、同じ仕向地(行き先)で何度も続くビジネスならいちいち個別申請しなくてもいいよ!

という経産省のお慈悲です。こちらは一度番号を取ってしまえば、有効期間内は何度でも社内処理で済ませられ、輸出がスムーズに進みます。

3.特別一般包括許可:

こちらは2.の優遇バージョンです。ただし、「特別」と名前がついている通り基準はめちゃ厳しく、輸出者(会社)の社内輸出管理・審査のシステムをがっちり構築する必要があり、その上で経産省の現地立入検査が入ります。輸出管理専属スペシャリスト(担当取締役含む)を多数抱えられる企業体力(人財・お金)が必要なので、自ずと中~大企業に限られます。

しかし、法令に触れるようなチョンボをしたらその優遇措置は即ボッシュートです。話によると、イエローカードはなくレッドしかないという鬼っぷりなんだとか。

 

これを踏まえると、本日の通達は

「韓国向けに関しては、2.は適用せず1.のみ。ただし3.はいつもどおりね」

私の実務上で言うならば、一行目(一般包括不適用)を見て、

「マジデスカ…」

と顔が真っ青になり、二行目(特別一般包括は別ね♪)で、

「あーよかったー!」

と血色が戻ったという感じです。

さて、特別一般包括許可を取っている会社はいいけれど、取っていない会社はこれから時間がかかるでしょう。しかし、ちゃんと書類を揃えればな~~~んの問題もありません。ただ、モノによっては6月に申請したのがまだ下りない(それも全然韓国じゃないし)ほど時間がかかることはお覚悟あれ。

 

 

 ホワイト国、やめます!

経済産業省輸出管理グループ分け

実務者としてネットを冷静に見ていると、「ホワイト国」という用語が独り歩きしている感があります。それに対する「ブラック国」という単語も出てきて、韓国ざまーがいささか暴走しているなという感想も拭えない。

経産省もそれを重く見たか、本日付けで「ホワイト国」の名称を廃止、上の表のカテゴリー分けをしましたという通知です。

 

これを詳しく解説していくと、

 

1.グループA

『輸出管理令別表3の国・地域』、つまり「ホワイト国」のこと。旧ホワイト国はカテゴリーAに分類しますということですね。

 

2.グループB

輸出管理レジームに参加し、一定要件を満たす国(グループAを除く)」

だけでは何のことかわかりません。

「輸出管理レジーム」とは、核兵器や通常兵器などが拡散しないように、国際貿易管理のルールを取り決めましょうね~という安全保障ルールの一つです。

「輸出管理レジーム」は、

・原子力供給国グループ(NSG)
・ザンガー委員会(ZC)
・オーストラリア・グループ(AG)
・ミサイル技術管理レジーム(MTCR)
・ワッセナー・アレンジメント(WA)

の5つで、それぞれ扱いが違います。いちばん下のワッセナー・アレンジメントは、渡邉なんとかさんがテレビやネットで散々出しているキ-ワードなので、聞いたことがある人も多いと思います。

具体的に何がどう制限がかかるのか等は、国内法である『輸出管理令』の「別表第一」で規定しています。

上の国際協定である「輸出管理レジーム」に当てはめると、

・原子力供給国グループ(NSG):別表1の2(原子力・核)
・ザンガー委員会(ZC):別表1の2(原子力・核)
・オーストラリア・グループ(AG):別表1の3及び3の2(化学・生物兵器)
・ミサイル技術管理レジーム(MTCR):別表1の4(ミサイル)
・ワッセナー・アレンジメント(WA):別表1の5~13(いろいろ)

となります。

別表第一はこちらにエクセルファイルがあるので、興味がある方はどうぞ。しかし専門用語の連続で頭が痛くなると思うので、おすすめはしません。

 

で、「輸出管理レジームに参加し」ている国は協定によって違い、日本のように全部入っている国もあれば、中国のように「オーストラリア・グループ」「ワッセナー・アレンジメント」には入っていない国もあります。なので、グループBはどういう枠になるのかは、経産省の発表を待ちましょう。

www.mofa.go.jp

 

3.グループC

「基本的にグループB以外の国」と解釈しても良いですが、「ただし例外あり」ということで、その例外は後で説明することとなります。

「輸出管理レジームに参加していない国」を有名どころで挙げれば、台湾・香港・インドネシア、ベトナムなどがあります。これらは確実にグループCですね。

 

4.グループD

「輸出管理令別表3の2,別表4の国・地域」

とありますが、これも百聞は一見にしかず、現物のそれをご覧あれ。

輸出管理令別表3の2

なんだか「訳あり」の国名が並んでいますが、グループCに書いた「ただし例外あり」の例外に相当します。

グループDは、実質

「この国に対して輸出したらダメです」

「この国と(貿易上で)お付き合いしてはいけませんよ」

リストに等しいと思って結構です。「ブラック国」と言うならば、これが国際安全保障上の正真正銘ブラック国の面々です。

まあ、許可さえ得られれば出せますが…という感じですが、まあ手を付けない方が無難です。

北朝鮮に対しては、さらに日本独自の特別サービス扱いとして「別表2の2」というものもあり、33項目にわたって延々と「NGリスト」が並べられている「事実上の全面禁輸」です。触らぬ北に祟りなし。

当然、「輸出」とは郵便などで送るだけではなく、スーツケースに入れて人力で持って行く行為、いわゆる「ハンドキャリー」や、相手に技術を教える「技術供与」も含まれます。現在話題のフッ化水素も、そのものだけでなく、作り方を教える・作り方が書かれたマニュアルをSDカードに入れて持って行く、というのも「技術供与」という輸出になり、該非判定が必要になります。当然、勝手に持って行くと経産省激おこどころか、ヘタすれば会社一つ崩壊することになりますが、この「技術供与」のことは案外知られていません。

 

輸出者にも喝!!

経済産業省輸出管理グループ分け

経産省の激おこぶりがよくわかる条文はこれまで解説した箇所ではありません。

むしろ輸出者に向けたこの文。

「フッ化水素など3項目は輸出禁止じゃないからね!」

と言いつつ、

「厳格な輸出審査を経た上で、正当な民間取引であると確認できたもの」

(翻訳:今までみたいに甘ないで!)

「3品目に限らず、迂回輸出や目的外転用などには厳正に対処します」

(翻訳:小賢しいことやったら、どないなるかわかってるんやろな!)

「輸出者におかれては、最終需要者や最終用途などの確認に万全を期するよう改めてお願いします」

(翻訳:顧客管理甘くしとったら、社長しょっ引いて業務停止やで!)

ときっちり釘を刺しています。

 

うわーこれめちゃ怒ってるわ…と寒気がしました。

『厳格な輸出審査』と聞いただけで、まだ見ぬ妖怪を見るよう。実務者は戦々恐々でしょう。

 

破ったらどうなるのか?

これらの法令、かなり厳格に適用されます。

日本の役所は基本的に甘々。一度失敗しても

「もう、今回は許してあげるから、次からはダメよ♪」

とイエローカードで済みますが、経産省にはイエローなんてありません、いきなりレッドカードを突きつけられます(笑)

やらかしてしまったらどうなるのか?

まずは経産省に、

「こいつ、こんなことやりやがった!」

とさらし首にされた上、その不名誉はPDFファイルとして、経産省HPに永久に残ります。

そしてこのレッドカード、天下に名だたる企業がやらかしてたりしています。

上述した「社長しょっ引く」なんてオーバーな!なんて呑気に構えてるあなた、この実例で震え上がるがよい~。

 

1.㈱セイシン企業

行為:ジェットミルをイランへ無許可輸出(不正輸出)

結果:社長・支店長起訴→懲役1年6ヶ月~2年6ヶ月(執行猶予3~5年)

処分:罰金1500万円(法人)、輸出業務禁止禁止2年

 

2.日本航空電子工業㈱

行為:飛行安定装置を民間利用と虚偽申告、イランに輸出(公文書偽造行使・不正輸出)

結果:社長・取締役起訴→懲役2年(執行猶予3年)

処分:罰金500万円(法人)、輸出業務禁止1年6ヶ月

 

3.ヤマハ発動機

行為:中国に無人ヘリを輸出しようとし、輸出通関時に税関にゴルァされる(不正輸出未遂@税関→経産省に告発)

結果:事業部長他3人逮捕→起訴猶予

(※ニュースになって大騒ぎになった割には軽い…おそらく未遂だったので、罪一等を減じるという感じか!?)

処分:罰金100万円(法人)、輸出業務禁止9ヶ月

 

中でも悪質として輸出管理セミナーでよく晒し上げられるのがこれ。ニュースでも大々的に取り上げられていました。

 

4.㈱ミツトヨ

行為:核兵器開発に使用できる三次元測定機を、スペックをごまかしてシンガポール→マレーシアに輸出。その後それがリビアでの核開発施設で見つかり、国連安保理激怒→日本政府激おこ

結果:社長、副社長、取締役2人起訴→懲役2~3年(執行猶予5年)

処分:罰金4500万円、輸出禁止6ヶ月~3年

(私の記憶が確かなら、ミツトヨは「前科2犯」だったはず)

 

ヤマハとミツトヨは私が商社時代に起こったことですが、上司が

「メーカーやからまだええけど、商社やったら輸出入業務停止1年なんて死亡宣告みたいなもの。資本金1億円くらの(会社)なら半年でぶっ飛ぶ(倒産)な」

と震え上がっていました。

 

こういう輸出管理は、日本→北朝鮮という風に直接はもちろん、第三国経由の輸出も対象となります。

たとえば、香港には中国の軍需産業や北朝鮮の関連商社が山ほど存在するのですが、彼らに売る、つまり日本→香港→北朝鮮という第三国ルートでも当然即レッドカードです。上に書いたミツトヨも、日本→シンガポール→マレーシア→リビアに流れた結果。そんなん知らんがなは通用しません。そこまで管理するのも輸出者(会社)の責務です。

 

最後に

韓国のホワイト国除外は初めてのケースですが、それに対する韓国のリプライは、

「今回は反省し、今後はそれがないよう管理を強化します。つきましては…」

とあるべきなのを、まともな返答がないままこのザマに。経産省に言わせたら、

「せっかく1ヶ月時間をあげたのに」

と呆れてものが言えないでしょうね。

 

しかし、韓国があれだけ喚いているのは何か理由がある。それも経済ガーとか表面のことではなく、内に秘めた「文化的要因」が…。

後編は、今回のホワイト国外すせに何故あれだけ狂乱しているのか。その「文化的要因」を書いてみたいと思います。おそらく近日公開で。