昭和考古学とブログエッセイの旅

昭和の遺物を訪ねて考察する、『昭和考古学』の世界へようこそ

「日立製のイギリス高速鉄道、初日からトラブル」記事から見える、メディアリテラシーの重要性

イギリスUKClass800

 

2日前のニュースなので、テレビのニュースなどでも大きく取り上げられていると思いますが、16日よりイギリスの高速鉄道で日立製の車両がデビューしました。 

高速鉄道といっても、最高時速は200km/hとちょっと控えめですが、騒音や車内の静音対策に新幹線の技術が使われており、乗り心地も上々とのことです。

 

しかし、初日から遅延や故障(エアコン部分からの水漏れ)が発生し、これもニュースになっていました。

 

 

イギリスで、大手電機メーカーの日立製作所が製造した高速鉄道の車両の営業運転が始まりましたが、遅延や空調からの水漏れなどのトラブルが相次ぎ、地元メディアは「新たな高速鉄道の門出に暗い影を落とした」などと伝えています。

イギリスでは、主要都市を結ぶ鉄道の老朽化した車両を更新する大規模なプロジェクトが進行中で16日から、首都ロンドンとウェールズ地方を結ぶ路線で、日立製作所が製造した車両の営業運転が始まりました。

しかし、イギリスの公共放送BBCによりますと、午前6時の予定だった始発列車の出発がおよそ25分遅れ、終点の駅への到着もおよそ40分遅れたということです。
また、始発列車には運行開始を記念して、イギリスの運輸相など関係者も乗っていましたが、客室の天井にある空調機器から水が漏れ出すなどトラブルが続きました。

こうした問題を受けて、日立レールヨーロッパのカレン・ボズウェル社長は、ツイッターに「始発列車が予定どおりに運行できず、申し訳ありません」と投稿し謝罪しました。

(以下略)

(NHKより)

 

他のメディアの記事も、これにほぼ右に倣えです。

 

イギリス高速鉄道水漏れ

イギリス高速鉄道

こりゃ派手に漏れてますな~(笑

 

 

しかし、開通時の記事を見てみましょう。

 

www.nikkan.co.jp

 

日立製作所が英国で受注した都市間高速鉄道計画(IEP)の新型車両「クラス800」が、16日(現地時間)に営業運転を開始した。

(中略)車両に神戸製鋼所のデータ改ざんしたアルミ製品が使われている問題について「独自に確認し(英国基準の)安全性に問題ない」とした。部品交換などが起こった場合は、神鋼側に補償の請求も検討していくという。

今回、営業を始めたのはロンドンと英国南西部を結ぶグレートウェスタン本線。朝7時、ロンドン中心部のパディントン駅を出発した。来年にはロンドンと英北部スコットランドを結ぶ路線でも新型車両が投入される。

現在、車両は笠戸事業所(山口県下松市)で基幹部分を製造、英北東部に新設したニュートン・エイクリフ工場で、1日1車両のペースで組み立てている。同工場の従業員数は当初計画の900人より増え、現在は約1000人という。

 上のニュースは「日刊工業新聞」から抜粋しました。

日刊工業新聞は知名度こそ日本経済新聞にはかなわないものの、経済新聞としてはかなりの老舗であり、ニッチ新聞として独自の地位を築いています。よって、経済関係の記事はそこらへんの総合新聞よりは強いはず。

 

問題は赤線の部分。

トラブルの記事は日立を全面に出していますが、実際の製造は現地イギリスの工場ということがわかります。

「トラブル」の記事を見てみると、まるで日本で製造された車両がトラブルのような書き方だし、NHKニュースのコメント(はてブ)も、それに脊髄反射しているかのようなコメントが続いています。

日立は日立だが、車両はイギリス製。こんな肝腎要なことを、主要メディアは何故書かないのか?

 

あれこれ調べていたところ、以下のサイトが引っかかりました。

 

【海外の反応】 パンドラの憂鬱 英国「日本が組み立てていれば…」日立製の高速鉄道が初日にトラブルも現地からは意外な声が

「海外の反応」シリーズのまとめサイトの中でも有名な、「パンドラの憂鬱」です。

ここでも今回の列車トラブルを採り上げていますが、タイトルの通り少し角度が違っています。

ここを見ると、明らかに「イギリスで組み立てられた」と書いていますが、ここも好意的なコメントだけをピックアップしたなど、何かしらのフィルタがかかっていると思われます。

しかし、この「パンドラの憂鬱」の良心的なところは、翻訳したソース先を提示しているところ。日本語に翻訳されたフィルタではにわかに信じられない人間不信のBEのぶ。翻訳元のニュースサイトに飛んでみました。中国語と比べ英語はあまり得意とは言えないですが、それでもニュースを読むくらいの読解力はある・・・と信じています。まあ、わからん単語があれば飛ばして読んだらいいことやし。

で、語学の勉強で重要なことの一つに、

「わからなければ飛ばす」

というものがあります。特にこれがわからないと全体が読めない・・・というもの以外は、飛ばして読むのも「読解力向上」のコツです。英字新聞をスラスラ読んでいる人が、英単語を全部わかると思ったら・・・違いまっせ。「飛ばし読み」を心得てポイントを押さえて読んでいるのです。語学屋さんや外国語ペラペラは「歩く辞書」じゃございませんので。

 

パンドラの憂鬱で提示されていたソース元のイギリスの地元新聞サイトを読んでみると、

「今回の高速鉄道の車両は、イギリスで組み立てられた車両」

とすべての新聞で明記されています。

ある新聞は、写真付きでこう書いています。

f:id:casemaestro89:20171019200900j:plain

The first UK-built Intercity Express (IEP) train (pictured) was unveiled at the Hitachi Rail Europe factory in Newton Aycliffe, County Durham, last December.

(ニュートン・エイクリフ(ダラム)の日立イギリス工場で姿を表した、イギリス初の高速鉄道車両。2016年12月) 

さらに写真を見ると、

DESIGNED IN JAPAN, BUILT IN BRITAIN

(意訳:日本で設計されたイギリス製の列車)

と書かれてあります。つまり上にも書いた通り製造・組み立てはイギリスなのです。

 

イギリス高速鉄道は、確かに日立が受注し日本の技術支援で作られ、ニュートン・エイクリフというイギリス北東部の町にある工場で組み立てられています。

さて、この列車はMade inどこなのか?

正解はイギリス。つまりMade in UKということ。

いくら日本の技術があっても、部品が99.9%日本製でも、製造組立地がイギリスなら「メードインジャパン」ではなく「メードインイギリス」になるのです。Made in XXより、Assembled in XXと書いた方がややこしくないんやけどな~。

10年以上中国との国際貿易に携わってきたことがありますが、日本から部品を中国に入れ、それを組み立てて日本へと「輸出」するとします。それは日本製の部品を100%使っていても、Made in Chinaとして日本に入ってきます。私が携わっていた製品はLEDを使うものでしたが、そのLEDは全部日本で東芝から買って中国に送ってましたから。それでも現地で買うよりはるかに安かったのです。その他部品もぜ~~んぶ日本で調達し中国で組み立て。そして、Made in Chinaとして日本へ。

だから中国製は・・・とブツブツ言っていても、中身は実は100%日本製でしたなんてことも、珍しいことでも何でもありません。

 

日本のメディアは知ってか知らずか、揃いに揃って「イギリスで組み立てられた」という事実を書いていません。

みんな右に倣えだし、記事内容も似たり寄ったりということは、同じ通信社から記事をもらっている可能性が高いですね。つまり、記者は自分の眼や耳、足を使って取材してないこと。言い方を変えれば、通信社のコピペ記事にちょっとだけ文を変えただけということ。そんなの、今やブロガーにだって出来ることなのに。

その通信社がどこかは知りませんが、私は何らかの「悪意」を感じます。

 

しかし、新聞記事やテレビのニュースなんて、言っちゃ悪いが「悪意」に満ちています。各メディアは、客観的に公平にと銘打っていますが、その実主観が入りまくっています。

「そんなのはけしからん!」

とお怒りはごもっとも。そんなメディアなど潰れてしまえと言いますが、そんな安々となくなるものではありません。

それより、我々が「メディアリテラシー」でウソをウソを見破る目を養う必要があります。

メディアリテラシーとは、端的に言えば「メディアのウソを見破ること」。

上に書いた通り、新聞やテレビのニュースは「客観的・公平」をモットーに流しています。しかし、実際はそんなことはありません。客観性・公平というベールに隠された「意図」を読み取ること。それがメディアリテラシーです。

新聞やテレビの言うことは全部ウソ・・・とまでは申しませんが、中国に住んでいた頃、新聞・テレビ報道の「中国万歳」と、現実の中国とのあまりの乖離を経験した私から見るとフェイクニュースばかり。それも新聞記者が公認しているほど確信的なウソが多かったのですが、お陰様でメディアリテラシーという言葉を覚える前にメディアリテラシーを実践で鍛えられました。それを書き出すと長くなるので、またの機会に。

少なくても、ニュースに関しては一つのメディア、一つの国の言い分を信じることは、自分で自分を洗脳しているのと同じこと。この件にしても、イギリスのニュース記事を見ると日本のメディアが、このニュースの要である、イギリスで作られた高速車両ということを、おそらく意図的に抜いていることがおわかりかと思います。

 

車両の水漏れの原因は設計にあるのか、それとも製造側にあるのか、それはわかりません。それ以前に、そんな小さなことは問題ではありません。

一つのニュースで、

「けしからん!」

とカリカリしたり、

「日立が・・・もう日本は終わりだ」

と逆にorzになっている人も、どちらも同じ穴のムジナ。広い視野でニュースを見れば、なんだこういうカラクリなのかと、イライラもガックリも収まるはず!?ああ、自分は視野が狭かったと自覚する時、視野は少しでも、確実に広がっています。何故ならば、視野を広げるには自分の無知を自覚することが条件だから。

普段からマスゴミと罵って脊髄反射している輩ほど、マスゴミさんの餌食になりやすいのですが、そうならないためには、まず視野を広げ多数のソースから物事を分析することが大切です。

その入口として、

「ニュースは複数のソースで見る」

という複眼思考を試してみては如何でしょう。複眼思考で世界を見る時、今まで見えなかった様々なものが見えてくるかもしれません。