昭和考古学とブログエッセイの旅

昭和の遺物を訪ねて考察する、『昭和考古学』の世界へようこそ

アメフト観戦者から見る日大アメフト騒動ー記者会見編

世間を騒がせているアメフト問題ですが、本日、加害者側である日大の選手が記者会見を開きました。

前回の記事では、私の判断で敢えて名前は出しませんでした。が、今日になり本人の希望で顔と名前を公表したということなので、今後は宮川選手と名前をつけさせていただきます。

 

今日は晩ごはんを外食で済ませ、ゆっくりYoutubeで見ることができる環境を整えた上で、記者会見をノーカットで見ました。ニュースサイトで見た彼の覚悟をひしひしと感じ、生半可な気持ちで見てはいけないなと感じたからです。

見させていただいた感想は一言。立派だと。

20歳の若者が、全日本の注目を浴びた状態で名前と顔を出す。言い方は悪いが、江戸時代で言えばさらし首に遭っているのです。親だったら、自らギロチンの前に立つ息子など見てられないと思います。

しかしながら、ネットで叩かれ、個人情報を流され、そして所属していた部・大学には見捨てられた状態で、堂々と事実関係を語ることができた。

正直、それで彼のやったことがチャラにはなりません。そんなことは、私が書くまでもなく本人が感じていることで、言葉にも出しています。ただ、余計なことは言わずただ淡々と事実のみを答える。相当の覚悟があったのだと思います。

 

 

今回の件で、私は非常なる怒りを覚えました。宮川選手にではなく、彼を全くかばうことがなかった日大です。誤解している方もいるかもしれませんが、この会見は日大がセットしたわけではありません。保身に走っている大学側に業を煮やした宮川選手と家族が、自分の身を守るため個人で設定し、一人で処刑台に上ろうと決意したものです。

今回で明らかになったことは数多くありますが、その一つに日大は公式に嘘をついたことに、非常なる怒りを覚えたのです。

日大は5月15日、関学にこんな回答を送っています。

 

日大関学送った回答書


この中で、あのプレーが起こった原因を、

「指導者による指導と選手の受け取り方に乖離が起きていたことが問題の本質と認識しており」

とあります。

これを平たく言ってしまえば、

「選手が監督の言葉を誤解して勝手にやっちゃったことですから(テヘペロ」

ということなのです。だからこそ関学が、

「んなわけないやろ!」

と激怒し、記者会見を開いた経緯があります。関学は長年のアメフトの経験から、あんなタックルは選手の独断ではできないことをわかっていたのです。

 

そして今日の会見と事実経緯の発表で、新たなことがわかりました。

本件で事態を重く見た学生連盟が規律委員会を設けたのですが、委員会の事情聴取は受けたものの、日大からの事情聴取は17日午前です。これが、学生が本格的な事情聴取を受けた最初の日です。

これはどういうことか。回答書の日付は15日になっていますが、15日時点で日大は当事者中の当事者、宮川選手に一言も聞いていません。これは会見で代理人(弁護士)が明らかにしています。

つまり、監督やコーチの言うことを一方的に鵜呑みにし、当事者の選手には何も聞かないまま、さも選手から事情を聞いた上で回答しました的な書き方をしている。つまりこの文章、嘘なのです。

その文書を知ったかどうかは知らないですが、宮川選手は己の預かり知らぬところで自分のせいにされていたのです。前監督は空港でのインタビューで、世間のバッシングに「心外だ」と答えていますが、それこそ彼のセリフでしょう。

そして今日、あのタックルは監督・コーチの指示だと明確に述べていました。

日大の「指導者の指導と選手の理解の乖離」とは逆だというのです。これでボールは日大に回ってきたということですが、「選手が勝手にやったことです」と公式に回答してしまっているため、進退窮まっていることでしょう。

「言うてること真逆やないかい!」

相手に「ウソの回答」をされてウ◯コを顔に塗られ関学は、テーブルをひっくり返して怒っても良い場面です。まあ、関学もはなから信じていないでしょうし、クレバーなスタッフを揃えているので、この流れは読んでいたでしょう。

これについての回答は、24日までに出すと決まっていますが、さて日大はどんなウルトラCの言い訳を繰り出してくるのか、私は楽しみで仕方ありません。

 

そしてもう一つ、記者会見を見て怒りを越えて殺意さえ覚えたのが、前監督とコーチに対してでした。本当は「内田前監督」「井上コーチ」書くべきですが、こんな下種ども、名前を出すのも穢らわしいと吐き気を覚えるほどの嫌悪感を感じ、どうしても出せないのです。出してしまうと、それこそ「内田のクソ」や「井上のボンクラ」など、ブログ記事ではなくただの毒吐きになってしまうので、そこはご容赦のほどを。

宮川選手は、会見ではっきりと述べました。

「関学大とは試合できなくてもいい」

「QBを潰しておけば、秋の交流戦でこちらが有利になる」

と言われたと。

これは、日大vs関学の問題ではなく、日本の学生アメフト界を潰すような発言です。この下種は己の虚栄心のために日本アメフト界を潰す気だったのかと。

シーズン中は関東と関西で別々のリーグ戦を行うので、実際に当たるのははるか先のことになりますが、シーズンはまだ始まってもないのに、もう優勝の予約ですか?まだ早かったんじゃないですかね。

その上、「QBを潰しておけば・・・」というのは、シーズンが始まったらお互い優勝しないと対戦することはないので、ちょっと何試合か休んでもらうかというレベルではありません。1シーズンずっと復帰不能なくらい、本格的に「潰せ」ということです。それを、監督とコーチは選手に指示していたのです。

日大はこういった具体的な発言も、「指導者の指導と選手の理解の乖離」と言い張るつもりでしょうかね。

 

また、宮川選手を「干した」というのも、何やら意図的なものを感じさせます。

「あいつはやる気が足りない。闘志が足りない」

と根拠の必要のない精神論で圧迫を行い、

「あんなヤツは辞めていい」

と思考停止の状態に追い込み、精神的に飢えた状態にする。その上で何かを「指示」(事実上命令ですが)する。

これは、一人の人間を自分の意のままに操るロボットにするための、もっとも原始的な手段です。古くは春秋戦国時代の中国、最近でもオウム真理教が使っています。

これも私の推定ですが、前監督は己の2連覇のために関学のQBを壊したいという、明確な目的がありました。かといって自分が直接手は下せない。そこで、コーチにそれを明かしたところ、

「私の教え子を鉄砲玉に使いましょう。うってつけの奴がいます」

と宮川選手の高校時代の恩師でもあるコーチが、彼を監督に「差し上げた」と。

会見を見ている限り、宮川選手は善悪の判断がつく、やさしい心を持った若者です。しかし、己の目的のために他人を貶めることを厭わない悪人にとって、こういう人物は不幸ながら絶好のターゲットなのです。

そして、彼に試合に出させないことにより追い詰め、精神的に飢餓状態にさせる。試合に出たいけれど出れないというジレンマが最高潮に達した時、「試合に出してやる。ただし・・・」と耳打ちしたら、試合に出られないのではないかという恐怖・不安も重なり、相手は言いなりになってしまいます。

何度も言いますが、やってしまった行為は、ゲームのようにリセットボタンを押すわけにはいきません。しかし、上の人間がそこまで追い込んでいた事実を述べたことにより、今後の課題のベクトルは日大アメフト部のあり方に向いたのです。

 

しかし、「関学大なんて試合しなくても良い」なんて相手へのリスペクトのかけらも見えない発言が、何故飛び出したのか。私なりに推測します。

日大は、2017年シーズンで学生チャンピオンになっています。「甲子園ボウル」という、学生チャンピオンを決める試合があるのですが、2017年は日大vs関学。アメフト界の巨人阪神戦です。

日大は関学を破って学生チャンピオンの座を手にし、前監督も涙ながらにインタビューに答えていました。

しかし、おそらくこの優勝が前監督のネジを緩ませてしまったのでしょう。学生日本一になったことによって、自分が日本一の監督だ、チャンピオンだから何をしてもいい。だから俺がルールブックだという夜郎自大に陥ったのではないかと。周囲も監督に逆らえないイエスマンのみだと、余計に視野が狭くなります。歴史の教科書を覗くと、そんな独裁者は履いて捨てるほど発見できます。つまり、結果を収めた人間や組織に対し、誰も何も言わなくなると誰でもこうなるぞということなのです。

 

 

立派な会見だったからこそ、対称的に醜いのが大学側の対応。

20歳の若者が、全国、いや今は全世界のさらし首になる覚悟を持ち、勇気を振り絞って会見をしたのに対し、手本となるべき大人は逃げ回っています。「責任を取る」なんて言いながら逃げ回り、やっと謝罪したかと思えば、「かんさいがくいん」だなんて言い出すバカもいましたね。

なんだか、「俺もお前らの後を追う」と特攻隊を送り出しながら、戦後を惚けて生きた軍の偉いさんにそっくりです。海軍では有馬正文中将や宇垣纏中将のように、「後を追う」を実行に移した人がいますが、陸軍にはほとんどおらず。戦争自体の責任は陸海軍共に半々ですが、それでも陸軍の評判が悪いのは、概ねこういうことを国民は見ているからなのです。

 

 

 

学生の勇気ある行動の余波が残るはなから、日大広報部からこんなコメントが出ました。

日大広報部お知らせ5月22日

 

アメリカンフットボール部・宮川選手の会見について
2018年5月22日

 

本日、本学アメリカンフットボール部の宮川泰介選手が、関西学院大学フットボール部との定期戦でルール違反のタックルをし、相手選手にケガを負わせた件につきまして、心境を吐露する会見を行いました。厳しい状況にありながら、敢えて会見を行われた気持ちを察するに、心痛む思いです。本学といたしまして、大変申しなく思います。


会見全体において、監督が違反プレーを指示したという発言はありませんでしたが、コーチから「1プレー目で(相手の)QBをつぶせ」という言葉があったということは事実です。ただ、れは本学フットボール部においてゲーム前によく使う言葉で『最初のプレーから思い切って当たれ』という意味です。誤解を招いたとすれば、言葉足らずであったと心苦しく思います。


また、宮川選手が会見で話された通り、本人と監督は話す機会がほとんどない状況でありました。宮川選手と監督・コーチとのコミュニケーションが不足していたことにつきまして、反省いたしております。

この期に及んでまだ「乖離がありました」「選手が勝手にやりました」ですか、そうですか。

ここまで「嘘」を貫くのは、15日に関学に出した回答書と辻褄を合わせるためでしょう。宮川君の会見の内容を認めてしまうと、関学に嘘の報告を書面でしたということになり、関学との関係は修復不可能となります。
そうなると、関学より弱い立場の宮川選手の言うことを嘘にして、あくまで自分らの嘘を貫こうという魂胆なのでしょう。

しかし、彼の発言を認めれば関学から突き上げられる。否定すると嘘の連鎖の泥沼に陥ってしまう。日大は退くも地獄、退かぬも地獄、阿鼻叫喚の世界に入ってしまいました。

 

現在のこの事件の焦点は、タックルではなく日本大学という教育機関としての是非が問われています。広報部のコメントを見ると、日大はまだそれがわかっていない。学生はゴルゴダの丘に登った。しかし彼を守るべき大学は、「広報部」という得体の知れない匿名が、紙切れ一枚で済ませようとしている。どちらの言い分に説得力があるのか。私が書くまでもないことでしょう。

学生は筋を通した。その学生を守るべき前監督・大学が全く学生を守らない。そんな大学は、本当に教育機関なのでしょうか。そもそも、教育とは何なのでしょうか。他人にすべての罪を被せ、自分だけ左うちわで逃げ延びる処世術を教えるのが大学なのでしょうか。

日本大学はかなりマジメに、教育機関として考え直した方が良いかと思います。

 

前回の記事で、私は前監督の理事辞任は「それはそれ」と辞任を否定しました。しかし、今回明らかになった事実で明確になりました。教育者の自覚があるなら、理事も辞任して教育機関も去るべきです。この下種に教育者を名乗る資格はないし、教育機関に存在していることに寒気がします。

宮川選手は「もうアメフトはやらない」と選手としての幕を下ろすと述べていましたが、一人の有望な選手の才能を潰しておいて痛痒も感じないようでは、コーチもろとも教育の世界から永久追放で良いかと。

 

これで「敵」は明確になりました。敵は本能寺ではなく、日大にあり。

 

そしてもう一つ、日大アメフト部は廃部・・・とまでは言いませんが、いったんは解散・解体すべきでしょう。戦前からの名門の旗を下ろすのは残念ですが、「日大フェニックス」の看板はいったん下ろすべきです。その上で新しいチームを作らないと、監督・コーチの首をすげ替えても同じことが起きる。「主犯」は監督・コーチとは言え、日大はこんなことをする大学なんだと、世間や対戦大学は痛くもない腹を探ります。開けてみれば、それほど中が腐っていたのです。いや、日大の22日公式コメントを見ると、その腐りようは想像を超えていました。

なにより、宮川選手の勇気に応えず保身に走っているのは、チームメイトもではないでしょうか。つい先日まで一緒に戦った仲間を捨てる行動は、もはやスポーツマン以前に人間としてどうかしています。彼の勇気をスゴイと思うなら、自分もその後を追うべきです。

他の学生に罪はないかもしれませんが、トップが汚れた組織の結末はどうなるのか。活きた歴史学・経営学として「勉強」しておくとよろしいかと。そして、今後自分たちは同じ過ちを犯さないと。その方がよほど大学、日大にあるという「危機管理学部」の勉強になると思います。

 

今日は、校正もせず書きたいことを書きなぐりましたが(明日以降こっそりリライトしますw)、最後に被害者のQBにお願いしたいことがあります。

それは、彼の勇気を一アメフトマンとして認め、もしも、現在は万が一以上ですが、いつか彼がフィールドに復帰を望むようになる時期が来たら、握手して迎え入れ、フィールドで戦って欲しいと。

現在は感情的に難しいはずです。俺の気持ちを知らないクセに無茶言うなと思うでしょう。

しかし、今ではありません。今は被害者の傷も癒えず加害者もアメフトへの意欲は地に落ちている。今はそんな時期ではない。

ただ、もしかして来ないかもしれないけれども、いつか彼が復帰を希望する時期が来たら手を差し伸べ、

「また一緒にやろうぜ」

と声をかけて欲しいなと。

「おい、今度はイミフなタックルするなよっww」

そのときは、これくらいのブラックジョークを一発飛ばしても構わないから。

 

==内田・井上記者会見を踏まえた続きは、こちらをどうぞ==

parupuntenobu.hatenablog.jp