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八田與一像破壊事件犯人逮捕-台湾に巣食う親中派と反日

やはり「あいつら」だった

 

台湾での八田與一の「斬首」事件、捜査が難航するかなと思ったのですが、犯人があっけなく出頭しました。

犯人は元台北市議の李承龍という男で、共犯として台南に住む邱晉芛という女も逮捕されました。

 

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顔を見ると、いかにもどころか、想像以上の悪人面ですな(笑)

 

 

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もう一人の邱晉芛なる女の顔も、なんだか「さもありなん」という顔をしているのは気のせいか?

 

更に、切り落とした八田氏の像の首を斬った証拠のつもりなのか、写真撮影までしています。

 

八田與一像を斬るチェーンソーで斬る李承龍

 

 

八田與一の像の首を切り落とした李承龍

 

もはや正気とは思えんな…。

地元紙の19日の最新情報によると、2~3年前からこの計画を立てており、5月8日の八田氏の命日を狙って行ったとのことです。

また、報道ではチェーンソーで斬ったと報じられていますが、彼の供述と写真から手ノコで2時間かけて斬ったようです。

動機も、日本統治時代の「美化」や、蒋介石銅像がないがしろにされている反面、八田氏などの銅像が大切にされている状況に不満を持っていたとのこと。

  

前回の記事で、台湾の反日勢力の仕業ではないかと書いたのですが、私の読みが当たりました。

 

parupuntenobu.hatenablog.jp

 

やっぱりね、という感想で驚きもしません。

 

前回、八田與一「台湾版王貞治さんのようなもの」と書きました。

王さんは日本で活躍して不滅のホームラン記録を持っている元プロ野球選手ですが、日本人ではなく中華民国籍(外省人2世)です。でも我々は彼が台湾人ってほとんど意識することはありません。

八田與一も、台湾人、特に台南の農民にとっては同じような存在だと言えます。

なので、今回の事件は日本の王さんの銅像の首が斬られるようなもので、野球ファンにとっては許しがたい行為ですよね。そんな感覚で結構かなと思います。

 

「台湾=親日」と思っていた方々にはショックかもしれませんが、台湾には元々国民党と一緒に台湾へ逃げた人たちの子孫もいるし、その後「中国に注射された台湾人」も少なからずいます。
割合としては極少数なのですが、一定の数の支持を得ている現実もあります。


ここで、台湾に巣食う親中派を整理してみます。

 

 


台湾の「親中」政党

 

台湾には、議席のあるなしにかかわらず、様々な政党が存在しています。
思想も様々で、「台湾独立」はもちろん、「日本へ再併合」から「中国との統一」まで右から左まで極端です。
このバラエティの豊富さは、日本以上ではないでしょうか。

その中で、「中国との統一」を目指している主な「親中政党」は以下の通り。

親民党
新党
中華統一促進党
台湾民主共産党
中華民国共産党
労働党
台湾致公党(中国大陸の「中国致公党」の姉妹党)

など、思ったより多いです。
しかし、国会に議席があるのは親民党のみです。

ややこしいことに、台湾には「共産党」と名がついた政党が6つもあります。どんなけ共産党が好きやねんと(笑)
「台湾人民共産党」「台湾共産党」も存在します。
前者は2016年に出来たばかりの組織でまだ不明な部分が多いですが、、後者は中国共産党とのつながりは全くありません。
それどころか、「台湾共産党」は「共産党」とついていますが、社会福祉の充実を主張する温和な中道左派政党で、民進党からの分派です。
日本の政党なら、過去の民社党みんなの党のような感じかな!?

同じ「親中派」「中国との統一」といっても、その統一方法は組織によって様々です。

 

中華民国による統一」
国民党、親民党、中国青年党(国民党の衛星政党
※彼らを「泛藍」(『青色』統一派)と呼びます。
逆に、「台湾独立派」は「泛緑」です。台湾政治に興味があるなら、必ず覚えておくべき単語です。

 

「香港と同じく、一国二制度による統一」(中華人民共和国による統一)
新党、中華統一促進党

 

中華人民共和国による統一」(中華人民共和国による統一)
台湾民主共産党労働党

 

「その他(連邦制による統一)」
中華社会民主党


親中派は、大なり小なり中国の息がかかっています。
尖閣諸島などの日中問題なども、中国に歩調を合わせています。
中国が日本に対して動けば、彼らも同じように動く。
中国が後ろでコントロールしているのは明白です。

台湾の政党を、
「右」:中国統一派
「左」:台湾独立派
としたら、相関図はこんな感じになっています。

 

台湾の政党の相関図


(多少、私の主観も入ってますw)


中華統一促進党とは?

 

八田氏の像の首を斬った李承龍なる人物は、元々新党に属していました。
しかし、より急進的な親中政党の中華統一促進党に移ったとのことです。

中華統一促進党は、数ある親中派政党でもラディカル・・・言葉を変えたら過激派が集まったグループです。
自分の主張のためなら暴力行為(≒テロ)も辞さない、と公に言っているほどです。
李承龍も、台北市議時代に議会で暴力沙汰を起こしたり、問題を起こしています。

犯人の二人は、2016年10月に「台湾民政府」という政治団体の本部を襲撃の上放火し、逮捕されています。
「台湾民政府」とは「日本の再統一」を目指す団体で、「親中派」とは思想が真逆です。
これはこれでまた過激なのですが、それに対する犯罪行為は政治の自由に対する「テロ」ですね。


李承龍は「中華愛國同心會」という団体にも属していました。
これは政党ではなく日本の右翼のような政治団体ですが、主張していることは親中派と同じく「中国統一」。
Wikipediaに「中共の台湾出張所」と書かれているほどのガチ親中組織で、「中国統一」や「反中国組織」との暴力抗争もたびたび起こしています。ほとんどヤクザですな。
表向きには「中華民国による中国統一」を唱えていますが、集会などでは中国の五星紅旗も平然と掲げられています。
民進党などの「泛緑」とは当然水と油、中国共産党と敵対している「法輪功」の台湾の会員にも、「敵」として襲撃事件を起こしています。

 


中華統一促進党の闇

 

この中華統一促進党は、過激なだけでも十分「ヤバい」のですが、更にヤバい事が。
この政党のトップ(総裁)は張安楽という人物なのですが、台湾では「白狼」というあだ名で知られている有名人です。
こやつがもう、札付きのワルなのです。山○組なんてかわいく見える程に(笑)

 

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元々は南京出身で、子供の時に国民党と一緒に台湾へ渡った、いわゆる「外省人」です。
1984年にアメリカで麻薬取引の罪で実刑判決(懲役10年)を食らい、
さらに台湾で指名手配され中国へ逃亡、15年間中国に「亡命」して2013年に台湾に戻り逮捕。
しかし、わずかな保釈金で釈放され、中華統一促進党という政党を作ります。
2014年の台湾の学生による立法院占拠の時も、彼は「親中派」を連れて学生たちを散々罵っていました。
経歴からしても、明らかに「中国に『親中仇日』を注射された人」ということがわかります。


張氏は中華マフィア「竹聯幇」の大ボスでもあるのですが、前科者でかつヤクザのボスが政党を・・・
と日本では信じられない状況ですが、それでも「親中派」から一定の支持を得ています。

日本の沖縄の「独立派」ともしばしば会っていて、グルではないかとウワサされています。
中国の深センには「琉球特別自治区委員会」なる組織があるそうですが、彼らとも連携を取っていることは確か。
これで日本の民進党とのパイプもわかれば。。。いや、なんでもありません。

 

しかし、李承龍がまだ完全に中華民族主義の麻薬に骨の髄まで冒されていないな、という点があります。

八田氏の像の後ろには、「八田家之墓」と書かれたお墓があるのですが、そこには手を付けていないということ。

もし中国人なら、李承龍が骨の髄まで中華の麻薬中毒だったら、確実に墓を傷つけ、荒らしています。

なぜならば、中国人が敵に行う最大の侮辱行為は「敵の墓を暴く」ことだから。そんな例は、中国の歴史を斜め読みしても山ほど出てきます。

秦の始皇帝の墓も秦が滅ぶとすぐに荒らされ暴かれたし、最近では蒋介石やその妻の宋美齢の一族の墓が文革で暴かれています。

宋美齢の姉、宋慶齢(当時は国家主席劉少奇文革で迫害されたため、国家主席代理)がそれを見てショックを受け、倒れてしまった話があります。

台湾には行き倒れの見知らぬ人を葬る、日本と似たような習慣があり、他人の墓を暴くという習慣はなかったはず。だからまだ彼も台湾人としての魂までは失っていないんだな、という見方ができます。


彼らの目的は?

 

李承龍自身、
「目的は達成した」
と警察の取り調べで述べているそうですが、彼らが八田氏の像を破壊した動機は何か。

 

前の記事にも書いた通り、日本と台湾の関係にヒビを入れることもありますが、「日本時代」を全面否定したい彼らにとっては、それが「悪の時代」であればいいのです。

 

では、何故そこまでして日本時代を「悪の時代」としたいのか?

理由は、前に記事で書いた「正統」で説明できます。

 

parupuntenobu.hatenablog.jp

 

中国の歴史思想では、「自分らの前の時代は『悪い時代』でなければならない」。そんな「悪い奴ら」をやっつけた国民党(や中国)は正義なのだと。

自分たちの政治を正当化するには、前の支配者を完全否定すれば良い。中国の歴史毎回のパターンです。

この思想パターンで、韓国の反日も説明できます。


自分たちの主張する「日本時代は悪だ」「八田與一氏も悪だ」というプロパガンダを、事件にして騒ぎにすることによって広めようという意図が見え隠れします。
台湾で政治的な騒ぎになりさえすれば、「目的は達成」ということです。
政治問題にならない事を政治問題にして騒ぎ立てる…なんだか森友問題に似ているような気がします。


李承龍のFacebookのページを一通り見てみたのですが、逮捕されても彼の行動を「支持」する励ましのイイネやコメントが多く、台湾の「親中派」の根の深さをネットで感じることができました。正直、予想以上です。


しかし、ガチの台湾人に彼らも台湾人というと、間違いなく怒ります。
「台湾人じゃない!彼らは『中国人』だ!」
と。

台湾人の言う「中国人」には二種類あります。
1.中国に住んで中国のパスポートを持っている人。ある意味そのまま
2.台湾に住み、中華民国(台湾)のパスポートを持つ「親中派

(台湾人は「在台中国人」と言っています。「在日韓国人」に倣ったんですかねw)
学校やネット上、ましてや中国で中国語を習っただけではわからない、台湾ならではの事情があります。


しかし、彼らの意図は逆効果でしょうね。藪蛇になっています。

台湾人の側から見たら
「『在台中国人』奴らは野蛮だ。目的のためなら犯罪でも何でもやるのかよ」
「だから『中国人』は(以下略」

日本人から見たら、
「台湾の反日勢力とはどういう連中か」
「(日本だけじゃなく)台湾にも中国に注射された勢力がいるんだ」
ということを知らしめた結果になったと思います。

 

刑事的な罰はどうなるか、それは台湾当局にお任せしましょう。我々がどうこう言う権限はありません。
しかし、これをきっかけに台湾=全員親日という幻想から抜け出し、現実を冷静に見るきっかけになったのではないでしょうか。

 

台湾人の脳裏にかすむ「中国」の幻想も、また現実なのです。

 

最後に言いたいのは、現代台湾情勢に疎い人は、学校で習った(と思う)

「本島人」=親日

外省人」=反日

で分け、物知り顔でこの話題を書いている人がいます。

はっきり言います。この分け方は、もはや時代遅れです。いい加減情報をアップデートして下さい。アップデートが面倒くさいなら書くな。

ツイッターでも、

「まだ日本人はそんな見方してるのか!」

と憤慨していた台湾人がいましたね。

 

すっかり台湾人になって日本大好きという外省人3世4世もいれば、「親中仇日」の中華民族主義麻薬を注射された本島人もいます。

台湾の日本好きを「哈日族」と言ってた時代がありましたが、「哈日族」の名付け親で今に続く日本ブームの火付け役は、哈日杏子さんという外省人3世。

逆に今回の犯人は二人とも本島人です。

これだけでも、もう「本島人」「外省人」という区分けは不要、「台湾人」と「在台中国人」になっていると言えるでしょう。

 

追記

 

この事件について、台南市長の頼清徳さんが日本に向けてのメッセージをFacebookで公表しています。

 

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八田與一技師を慕う日本の皆様へ

この度、烏山頭ダムに置いてある八田與一技師銅像が破壊された件について、私は直ちに特別調査チームを設立し、必ず二つのミッションを完成させると命じました。一つ目は銅像の修復を直ちに完成し、毎年5月8日に定期的に開催する八田與一墓前祭が順調に進行する事。二つ目は警察に調査チームの設立を要請し、直ちに事件解決に結びつける事。現在台南市警察は既に事件を解決しました。

 

八田技師は日本東京帝大を卒業してからすぐ台湾に来て、烏山頭ダムを築き上げました。80何年前においても、当時アジア最大・最先端のダムであり、当時の嘉南平原を台湾の穀倉にしただけでなく、今日になっても、我々の畑の灌漑もまだ烏山頭と彼が建造した嘉南大圳に頼っており、今日になって水のない時に、ますます彼の重要性を感じてきました。八田技師の台湾の農業発展に対する深くて莫大な貢献が見られます。

 

私は色々な方からのご協力に再び感謝の意を表し、皆様と力を合わせ銅像の修復を完成し、順調に5月8日に墓前祭を開催できると確信しています。毎年5月8日、台湾と日本の方々が八田與一記念園区で墓前祭を催し、お互いの友情を深めます。 数十年間、台日間の有効かつ安定的な関係は親中嫌日の感情的な行為が破壊できるものではありません。その反面、さらに多くの人に八田與一技師の貢献を理解してもらい、台日の協力体制を更に堅固なものにすると確信しております。      敬具

2017年4月18日
台南市長  頼清徳 

 

市長の心がこもったメッセージ、我々日本人は確かに受け取りました!

 

この話の続きは、下の記事をどうぞ。

parupuntenobu.hatenablog.jp

 

台湾関連のお話もしています。

parupuntenobu.hatenablog.jp

 

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